コラム
仁科友里「女のための有名人深読み週報」

みちょぱは工藤静香に似ているけれど……「男を立てる」だけでは通用しない、彼女が“令和の時代”をうまく泳げる理由

2021/03/25 21:00
仁科友里(ライター)

羨望、嫉妬、嫌悪、共感、慈愛――私たちの心のどこかを刺激する人気芸能人たち。ライター・仁科友里が、そんな有名人の発言にくすぐられる“女心の深層”を暴きます。

<今回の有名人>
「私が面倒を見る」みちょぱ(池田美優)
「女性セブン」(小学館、2021年4月8日号)

 時代が変わるにつれ、それまで“当たり前”とされてきたことが変わる。例えば一昔前、独身女性芸能人の「結婚できない理由」を検証する番組はたくさんあったが、今は皆無といってもいいだろう。もし今、こんな番組を放送したら、「結婚するもしないも、個人の自由」「女性蔑視」として、炎上することは必至である。

 それでは、世の中が一気に変わるかというと、そうでもないようだ。2月16日放送の『ロンドンハーツ』(テレビ朝日系)では、人気コーナー「格付けしあう女たち」で、「男を見る目が無さそうな女」というテーマのもと、女性タレントたちが互いを格付けしあい、一般人投票によるランキングを予想していた。

 そんな同コーナー内で、バカリズムは、朝日奈央を「誰にでも抱かれる危険性がある」とイジッていた。独身であれば、誰と関係を持っても問題ないはずだが、これは「女性は、多数の人と性的な関係を持つのは、よろしくない」という考えがあるからこその指摘ではないだろうか?

 結婚もセックスもプライベートな事柄だから、法を犯さないかぎり、他人がそのあり方を定義することはできない。「独身であることを笑うのはおかしい」という考え方は徐々に浸透しつつあるが、同じプライベートでも、女性が性的に自由であることには抵抗を抱く人が多いのだろう。これは、「世の中は少しずつ変わってきているものの、変わっていないこともたくさんある」の証拠ではないだろうか。

 だとすると、芸能人も、昔と同じキャラクターでは生きられないが、あまりに先鋭的だと、拒否感を抱かれる可能性がある。つまり「ちょうどよく今風でありながら、保守性を持つ」ことが求められるが、その条件を一番満たすのは、ギャルタレント・みちょぱ(池田美優)ではないだろうか。

 ギャルタレントは、オジサンオバサンに若者文化を教える役割を担っている。漢字が読めないなど、知識量は少なく、大御所にタメ口をきいたり、一見非常識だが、相手の話をさえぎったり、話の腰を折ったりするような、相手の見せ場を減らす非礼は働かない。これができるのは、頭の回転が速いからだろう。ファッションと知識量の差こそあれど、「相手を立てる」という意味で、ギャルタレントと女子アナは似ていると思う。

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