コラム
仁科友里「女のための有名人深読み週報」

渡辺直美を「わきまえた女」だと思っていた!? 佐々木宏氏、ブタの格好で「チャーミングに見える」発言の“男尊女卑”

2021/03/18 21:00
仁科友里(ライター)

 太っているのは女性らしくないと決めつけることは、男尊女卑の最たるものだと私は思うが、その実、男尊女卑的な思考の人ほど、「太っている女性」のことを愛でる傾向があるのではないか。

 私は新卒でごりごりの男尊女卑会社に入ったが、その時の経験からいうと、男尊女卑的な思考の強い男性ほど、若い細身の美しい女性を好むように感じている。まぁ、世の男性の多くはそういう女性が好きだろうが、ポイントは、男尊女卑度の高い男性こそ、若くない、細くない、美人でない女性につけいられていたということだ。

 これはどういうことかというと、若くない、細くない、美人でない女性が、「私、オバちゃんだし」「私、デブだし」「私、ブスだし」といった具合に、欠点を自ら口にすると、男尊女卑度の高い男は「彼女はわきまえた女」として、掌中に入れてかわいがるようになる。当時、女性社員の中には、職場での自身の居場所を確保するため、割り切って「わきまえた女」を演じていた人もいたと思う。

 反対に、そういうオジサンに下手に出ず、距離を狭めない、仕事だけしている女性は、「愛想やかわいげがない」「外見の問題じゃなくて、性格が悪い」と悪い評価をどんどん上乗せされてしまう。

 佐々木氏は、渡辺にブタの格好をさせることを「これで彼女がチャーミングに見えると思ったのですが」とコメントしている。人にブタの格好をさせて、なぜチャーミングに見えるのか、私には理解できないが、男尊女卑的な視線で見ると、佐々木氏は、(渡辺の意思とは別に)バラエティで体形をイジられる彼女を見て、「太っていることをわきまえ、笑いを取って頑張っている」「その姿が健気でチャーミング」とでも思ったのではないか。

 渡辺は台湾や中国、アメリカでも活動し、ファンを増やしている。それは、渡辺の見た目も含めた芸が受け入れられているのだと私は思うが、やはり男尊女卑度の高い人は、常に外見でしか女性を見ようとしないのではないか。ブタの衣装は、男尊女卑的視線の象徴のような気がしてならない。

 渡辺は4月から活動拠点をアメリカに移すと発表していた。こんなくだらない男尊女卑オジサン、もしくは男尊女卑国家にとらわれることなく、どうか思いっきりアメリカで実力を発揮してもらいたいものだ。

仁科友里(ライター)

1974年生まれ、フリーライター。2006年、自身のOL体験を元にしたエッセイ『もさ子の女たるもの』(宙出版)でデビュー。現在は、芸能人にまつわるコラムを週刊誌などで執筆中。気になるタレントは小島慶子。著書に『間違いだらけの婚活にサヨナラ!』(主婦と生活社)、『確実にモテる 世界一シンプルなホメる技術』(アスペクト)。

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最終更新:2021/03/18 21:15
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