カルチャー
居住支援法人LANSインタビュー

コロナ禍で生活に困窮する人に、私たちは何ができるのか? 支援者が「『見ない』という選択肢もある」と話すワケ

2021/03/28 18:00
坂口鈴香(ライター)
写真ACより

 コロナ禍で増加している、生活に困窮する人々。茨城県つくば市では、居住支援法人「LANS(ライフ・アシスト・ネットワーク・サービス)」が、コロナ禍により仕事がなくなるなどして、住まいを失った人や失いそうな人からの相談を受けて、LANSが用意したシェアハウスなど住まいを確保するとともに、仕事探しの支援もしている。

 前編ではLANSの代表、浅井和幸さんに、生活に困窮する人たちの実態やその支援事例についてお話を聞いた。後編では、私たちに何ができるかを、浅井さんのお話とともに考えてみたい。

何が幸せで不幸か、人それぞれ

 前編で述べたように、生活困窮者にも問題がないわけではないのですが、行政にも問題があると感じます。市民からバッシングを受けないようにとしか考えていないような担当者がいるのも事実です。たとえば生活保護の相談を受けたときに、家賃補助という手段はあるのに、その提案をすることなく「生活保護はできません」としか答えない、ということもあります。

 さらに生活に困窮している当事者と行政、双方のコミュニケーション不足が問題をより深刻にしていることも。互いにできることを出し合うことが大切だと思います。

 そのためにも、困ったときはLANSに連絡してほしい。そうすれば、私たちは当事者と行政、双方ができない部分を支援します。すぐに生活保護を受ける、すぐにハローワークに行くなどができなくても、今食べ物に困っているのなら、私たちが米を届けることはできる。「米が届きました」という連絡をもらえば、その人が生きていることが確認できて、次の一歩を考えることができます。私たちは当事者と行政が「できること」と「できないこと」の間を見て支援しています。

 何が幸せで、何が不幸かは人によってさまざまです。「親子や夫婦は仲良くしないといけない」という考えに縛られて苦しんでいる人には、仲良くなくても幸せに生きる方法はあるんじゃないか、と気づいてほしい。離婚しても幸せな人はいるし、結婚していても不幸な人もいる。どっちの道に進んでも、良いことも悪いこともあるのです。

 そこに気づいてくれると、私の言葉に共感して受け入れてくれるようになります。私の言っていることを「本当かも」と思ってくれるような関係になるまでには時間がかかります。それまでの間に、食べるものがないなら食料を持って行くし、医療や介護サービスにつなげることもしています。

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