ドラッグストアで「窃盗団の大量万引き」増加中! 万引きGメン連れ去り事件も発生、死と隣り合わせの現場
こんにちは、保安員の澄江です。
ここのところ、日本各地のドラッグストアにおいて、ベトナム人窃盗団による大量万引き事件が頻発しています。私たちはもちろん、警察も検挙に勤しんでいますが、彼らの手口は粗暴かつ巧妙で、もれなく捕捉するに至りません。その被害は頻発しており、一度に数十万円相当の商品を持ち出されることも珍しくなく、系列店舗をハシゴする連続窃盗と呼ぶべき事案も目立ちます。1日の被害合計が、100万円を超えることもあり、その悪質な犯行に憤りを感じることも増えました。また彼らは、逃げ足が速いことも特徴で、その捕捉は困難を極めます。共犯による犯行が多く、見張り役の男に威嚇されることもあって、言ってしまえば犯行を抑止することすら難しい状況にあるといえるでしょう。
最近は、コロナ禍の影響で盗品の輸出が困難になり、大麻の密造販売や家畜窃盗、高級青果農場荒らしにシフトする者が増えたという話も聞きますが、帰国したくても状況が許さず生活苦に陥り、常習万引きに至る者が増えている側面もあります。今回は、私が遭遇したベトナム人による集団万引き事案について、お話ししていきます。
当日の現場は、北関東の街道沿いに位置するドラッグストアS。コスメドラッグを中心に、処方箋から食品まで、さまざまな商品を取り扱う地域で人気の有名チェーン店です。ここのところ、ベトナム人と思しきアジア系外国人の大量万引き被害が頻発しているとのことで急な依頼をいただき、どことなく鈴木福くんに似ている男性保安員(38)と2人で勤務に入ることになりました。柔道初段がウリの新人さんで、彼と会うのは、この日が初めてのこと。長時間電車に揺られて、ようやく待ち合わせ場所である改札口に到着すると、耳の潰れた体格のいい男性が、おにぎりを食べているのが見えました。
(きっと、あの人だわ)
そばに寄ると、すぐに気付いてくれたので、簡単に挨拶を済ませて徒歩で現場に向かいます。2人並んで歩けば親子に見えないこともない感じですが、182センチ、105キロという福くんの存在感はやかましいほどで、一緒にいたら仕事にならない気がしてきました。
「体が大きいから、スーパーなんかじゃ目立つでしょう?」
「そうなんですよ。ドラッグストアは、隠れ場所がないから、苦手なんですよね」
あからさまに姿を見せて万引きを抑止するのは意外に簡単なことですが、逃がしてしまえばほかの店が被害に遭うため、クライアントは常に捕捉を求めてきます。そうした事情から、店内における現認は私1人で行い、福くんは捕捉に専念してもらう作戦を立てました。外国人相手の捕捉は、男性の力が不可欠なので、大船に乗ったような気持ちで現場に入ります。