「葛根湯」肩こり・頭痛にも効果あり!? 風邪に効く服用方法と、メーカー別の特徴を医師が解説
風邪に効くというイメージのある「葛根湯」。しかし、葛根湯と風邪薬のどちらを服用するべきか、その違いがわからない人も少なくないのでは? また、葛根湯は「肩こりに効く」というウワサもあるようだが、実際に風邪や肩こりに効くのか、その効能や服用ポイントについて、金城里美医師に聞いた。
――葛根湯は漠然と「風邪に効く」というイメージがありますが、具体的に、どんな症状に効果があるのでしょうか?
金城里美医師(以下、金城氏) 葛根湯は「風邪のひきはじめ」に効く漢方薬です。風邪のひきはじめは、喉の痛み、寒気、頭痛、首の後ろのこわばりなどの症状が現れ、それから徐々に熱が上がり始めます。熱は上がっても汗が出ない状態のとき、葛根湯は体を温めて発汗させることで熱を下げて風邪を治すように働きます。
また、葛根湯には鎮痛作用もあるといわれており、炎症によって起こる喉の痛み、関節の痛みなどを和らげる効果もあります。
――「葛根湯」と「風邪薬」、それぞれ使い分けるポイントは?
金城 葛根湯は添付文書(薬の説明書)の中で、服用対象者として「自然発汗がなく頭痛、発熱、悪寒、肩こり等を伴う比較的体力のあるもの」と書かれています(ツムラ葛根湯添付文書より)。つまり、「汗を多くかいている場合」、「体力が衰えている場合」は不向きになります。
また、風邪のひきはじめに効果が高いため、風邪をひいてしばらく経ってからの症状にも不向きであることが多いです。そのような場合は、風邪薬や他の漢方薬を使われることをおすすめします。
――ほかの漢方薬としては、なにが挙げられますか?
金城 たとえば、寒気が強く高熱がある時は「麻黄湯(まおうとう)」、喉の腫れと頭痛が強い時は「銀翹散(ぎんぎょうさん)」、長引く咳には「麦門冬湯(ばくもんどうとう)」、長引く熱と咳・痰には「竹茹温胆湯(ちくじょううんたんとう)」、鼻水が出る風邪には「小青竜湯(しょうせいりゅうとう)」などがあります。
一方、風邪薬は、風邪のさまざまな症状を和らげるため、複数の成分が配合された薬です。具体的な成分としては、鎮痛・解熱薬、抗ヒスタミン薬、鎮咳・去痰薬、カフェイン、生薬、トラネキサム酸などが含まれています。
一般的な風邪薬は、風邪症状がある場合に体力の有無に関係なく使用でき、また風邪のひきはじめでもしばらく経ってからでも使うことができます。そのため、風邪薬はどなたでも使いやすい便利な薬といえます。