森喜朗氏の地元・石川県で「自民党を除名された」女性議員に聞く、女性が“排除される”地方社会
現在、野々市市議会では議員15人中、女性は2人。少数派である。地方議員になる人は企業の社長や地権者(地主)の男性が多いそうだ。
「地方では地元の有力者と仲良くなって、飲み会などに出席するうちに、『お前出れや』と仲間内で盛り上がったり、『コイツ推そうぜ』と根回しをされたりして、みこしのように担がれて選挙に出ることが多いのです。“地盤で推す”という今の選挙の仕組みが、女性が飛び込める環境ではないということですね。私はウグイスの世界に長年いて、その空気をいつも感じていたから、抵抗なく政治の世界に入れたのだと思います」
また、立候補することで、自分のプライバシーがさらされ、家族や子どもたちにとっても負担になってしまうのではという懸念が、特に子育て世代の女性の政治参加に高いハードルとなっているとも言う。
梅野市議は女性目線での施策を増やすためにも、女性議員が増えることを望んでいる。
「私は、野々市に暮らしてまだ15年の“よそ者”なんです。結婚して、子どもを産んで育てている、普通のお母さんなのです。そういう人だって、この街をより良くしたいという思いがあれば、選挙に立候補できる仕組みが必要だと思います。議員にも多様性が必要なのではないでしょうか」
梅野市議はウグイス嬢時代、森氏が地元石川県に選挙戦の「視察」に来た時の様子を次のように語った。
「私は、森喜朗前会長の選挙カーには乗ったことがないんです。ただ、ほかの候補者の国政選挙や地方議会選挙では視察に来られることもありました。選挙カーの後を、黒塗りの大きな車でついて見てらっしゃいました。ウグイス嬢のアナウンスにも『今しゃべっとったんは誰や』と、有権者の前でも厳しい指導が入ります。『自民党の議員に当選してほしい』という気持ちはウグイス嬢も同じで、声を枯らして走り回っているのに、みんなの前で怒鳴るのはどうかと、いつも疑問を感じていました」
梅野市議は森氏の政治的功績に敬意を感じる一方で、言動に納得できないこともあったようだ。
23年には、任期満了に伴う、野々市市議会議員選挙が実施される。2期目が勝負だと言う梅野市議。
3月9日の定例会では、8日の国際女性デーにちなみ、「野々市市第3次男女共同参画プラン」「災害対策における男女共同参画の推進」「野々市市子どもの権利条例」について質問する予定だ。
梅野智恵子(うめの・ちえこ)
石川県野々市市議会議員。2019年当選。教育福祉常任委員会、予算決算常任委員会、議会改革・活性化特別委員会、広報委員会に所属。子育て・教育・防災などに力を入れる。所属会派は「みのりの会」(一人会派)。
(谷町邦子)