森喜朗氏の地元・石川県で「自民党を除名された」女性議員に聞く、女性が“排除される”地方社会
除名後、梅野市議はそれまでの自分をすべて失ったように感じたという。
「一番つらかったのが、一緒に選挙で戦った仲間が離れていったこと。自民党でなくなったら私は何の価値もなくなるのかと思いました」
また、自民党自体から除名されたことで、党の女性局の勉強会や、党関連のフォーラムにも参加できなくなってしまった。
「今後どう活動していけばいいのだろうとか、勉強会にも出られないとか、悲観的にしか考えられない時期がありました」
しかし、現在は「選択的夫婦別姓・全国陳情アクション」の事務局長、井田奈穂さんに声をかけられたのをきっかけに、選択的夫婦別姓の勉強会や、稲田朋美議員が設立した「女性議員飛躍の会」に参加。さらにTwitterを通じて、ほかの一人会派の女性議員と交流し、励まされることもあったという。
「いろんな人と自分から積極的につながれば、勉強はさまざまな形でさせていただけるんだなと、最近思うようになりました」
ところで、除名処分を受ける原因になった選択的夫婦別姓について、梅野市議自身は別姓でもなく、別姓にしたいと思っているわけでもないという。
「私は、生まれ変わっても同姓を選びますよ。夫と一緒の姓になりたかったですし。でも、自分がそうだからって、ほかの人が同じわけではないですよね。育った環境も、みんな違う。苦しみや生きづらさに寄り添い、多様性を尊重することが大切。選択制であり、姓が違うから家族の絆が壊れるわけではありませんし、日本が壊れるわけでもないと思う。すでに親子別姓の家庭は再婚などのさまざまな事情で存在していて、『夫婦別姓だと子どもがかわいそう』との意見は親と姓が違う子どもに対する差別ではないかと危惧します。最近の保守は、少し偏っていると思います。私は、自由で寛容な保守主義が好きです」
また、女性活躍を推進する議員の立場でも、選択的夫婦別姓の必要性を実感しているという。
「選択的夫婦別姓を望む女性はキャリア志向が強い人も多いですよね。その人たちが仕事や子育てをしやすい環境を整えることが、日本の飛躍につながると思います」