森喜朗氏の地元・石川県で「自民党を除名された」女性議員に聞く、女性が“排除される”地方社会
女性蔑視発言が問題となり、森喜朗元首相が東京オリンピック・パラリンピック大会組織委員会の会長を辞任した。しかし、後任の橋本聖子氏が務めていた五輪担当相と男女共同参画担当相を兼務することになった丸川珠代氏が、選択的夫婦別姓に反対するよう地方議員などに呼びかける書状に名前を連ねていたことが明らかになり、さらなる波紋を呼んでいる。
昨年12月に閣議決定された「第5次男女共同参画基本計画」は、特に伝統主義的な自民党議員による強い反発を受け、「夫婦別姓」の文言が削除された。一方で「選択的夫婦別姓」に賛成する自民党議員もいて、夫婦別姓が賛意を示すことすら許されないほどタブー視されているようには思えない。
そのような状況の中、森氏の地元である石川県では昨年6月、自民党野々市支部が、野々市市議会本会議に提出された夫婦別姓導入の請願に賛成した、梅野智恵子市議を除名処分とした。
梅野市議は地元の北國新聞の取材に対して「党の考えに反するという認識はなかった」と答えているが、なぜ除名されるに至ったのか。その背景や経緯、そして女性差別や森氏についても話を聞いた。
ウグイス嬢の経験を経て、無所属で立候補
梅野市議が賛成した「選択制夫婦別姓の導入など、一日も早い民法改正を求める国への意見採択についての請願」は、2020年の3月、市議会で共産党の岩見博市議が発議したもの。梅野市議は、「地方議会から声を届けるべきだと賛成したかった。なので(賛成を表すために)起立しました」と話す。
自民党には所属していたが、一人会派「みのりの会」であるため、野々市市議会の自民党系会派で最大会派である「野々市フォーラム」の市議に相談することはなかったという。
梅野市議の除名を報じた北國新聞の取材に対して、自民党野々市支部長の徳野光春県議は「遅刻、欠席等で党に迷惑をかける行為を続けたことも処分の理由」と述べている。さらに記事は「梅野市議は昨年(※2019年)12月に自民党系会派を離脱している」と締めくくられていた。梅野市議と「野々市フォーラム」との間に、何があったのだろうか?
それを探るために、梅野市議の出馬から当選、そして現在までの経緯を振り返る。
梅野市議は19年4月の統一地方選挙に立候補した。
「20年以上ウグイス嬢をやっていて政治が身近だったこと、そして、自分の住む地域を見た時に女性が政治の場にほとんどいないことに危機感を覚えたことで立候補しました」