カルチャー
居住支援法人LANSインタビュー

コロナ禍で増加、「真面目に働いていても生活が困窮する人」の特徴――居住支援から見えた実態

2021/03/14 17:00
坂口鈴香(ライター)

 若いころからコツコツ仕事をしてきて、年金ももらっているけれども、さらに空いた時間にはアルバイトまでしていた60代男性が生活に行き詰まったケースもあります。きっかけは、奥さんが亡くなったことでした。お金の管理をしてくれていた奥さんがいなくなると、自分ではやりくりができなくなって、あっという間に生活が困窮し、家賃も払えなくなったのです。この方にはお小遣い帳のつけ方をアドバイスして、お金の管理ができるよう支援しました。

 こういう方たちの特徴として感じるのは、長期的にものごとを見ることができず、目先のことしか考えられないということ。生活が自転車操業になり、アパートの更新料が払えなくなったり、長期的に見ると割高なのに、初期費用の安さに引かれてウイークリーマンションを借りたりする、というケースです。

 シングルマザーも少なくありません。離婚して、小学生の子どもを連れて実家に戻ったものの、実兄からDVを受け、子どもも不登校になってしまった女性がいました。この母子はシェアハウスに入られたのですが、お子さんは住所が変わったことで登校できるようになり、お母さんも仕事を見つけることができました。

 頼れる家族がない、家族からの支援が期待できない、それどころか家族から搾取されたり暴力を振るわれたりして、孤立してしまう姿が見えてきます。

* * * *

 これらの事例を見て、他人事と言い切ることのできる人がどれほどいるだろう。終わりの見えないコロナ禍で、誰もがいつ仕事も住まいもなくなっても不思議ではないのだ。

 後編(3月28日公開)では、私たちにできることを考える。

 

 

坂口鈴香(ライター)

終の棲家や高齢の親と家族の関係などに関する記事を中心に執筆する“終末ライター”。訪問した施設は100か所以上。 20年ほど前に親を呼び寄せ、母を見送った経験から、 人生の終末期や家族の思いなどについて探求している。

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最終更新:2021/04/05 11:19
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