皇后さま、新興宗教の“教祖”に心酔!? 宮内庁が問題視した「教団」と、皇室の知られざる事実
皇室が特別な存在であることを日本中が改めて再認識する機会となった、平成から令和への改元。「皇族はスーパースター」と語る歴史エッセイストの堀江宏樹さんに、歴史に眠る破天荒な「皇族」エピソードを教えてもらいます!
前回まで――昭和時代、皇后さまに愛されながらも、宮内庁から「魔女」と呼ばれた女官・今城誼子さん。その後、宮中では密かに「魔女狩り」が行われ、今城さんは追い出されることになるのですが、その背景には宮内庁の権力者・入江相政侍従長の独断が働いていたようで……。
宮中の「魔女狩り」と新興宗教
――これまで、昭和天皇の人間宣言のウラで起こっていた「宮中の魔女狩り」ミステリーに迫ってきました。「魔女」と呼ばれた女官の今城さんは「祭祀」を重視するタイプで、宮内庁の権力者・入江侍従長の描く“開かれた皇室”像とは折り合いが悪かったとのことでした。
堀江宏樹氏(以下、堀江) 宮中祭祀をなにより大切にすべきと考える今城さんは「魔女」どころか、実は「聖女」なんです。しかし、昭和40年代の宮内庁は、入江相政侍従長の考える「新しい天皇のありかた」の支持者と、今城女官の考える「古い天皇のありかた」の支持者に、分断されてしまっていました。
それだけならまだしも、今城さんの態度に怒りを感じた入江氏はついに昭和天皇を頼り、「魔女狩り」に着手するのでした。
――おお、ついに「魔女狩り」を迎えるのですね。
堀江 決定打となったのは、天皇皇后両陛下の戦後初になるヨーロッパ訪問の問題でした。天皇皇后の外遊は公式発表がなされるまでは絶対の機密事項として取り扱われるのですが、当事者である皇后さまが、女官であった今城さんに、ヨーロッパ行きの話をしてしまったようなのです。
今城さんがフランス語の勉強をにわかに開始したので、それを怪しんだ新聞社に、ヨーロッパ訪問の発表前に情報をすっぱ抜かれてしまった……少なくとも入江氏はそう主張しています。通常なら、今城さんにはその責任を取って退いていただくことになりえますが、皇后さまが今城さんを「ヨーロッパに随行させたい」と執心なさり、今城さんナシなら「私はヨーロッパには行かない」とまでおっしゃる事態となりました。
こうして皇后さまと入江氏のガチバトルが勃発です。最終的に、入江氏は「今度の御旅行(のメイン)はお上(昭和天皇)なので皇后さまはそのお供、おやめになりたいなら仕方ない、ただ理由としてはすっかりすっぱぬくほかない、もういい加減におやめになったら」などと申し上げたそうです。
――だいぶワイルドな言葉遣いですね。「すっぱぬく」って、でもなにを?
堀江 この魔女問題を著書で取り上げられている皇室ジャーナリスト第1号の河原敏明氏いわく、これは今城さんが皇后さまを神道系の新興宗教「誠の道(真の道)」に勧誘しようとしていた疑惑を、マスコミにリークするぞ、という意味だそうです。