コラム
仁科友里「女のための有名人深読み週報」

宮迫博之は、なぜ吉本興業・大崎会長を不快にさせたのか? 今田耕司に見習うべき「世渡り術」

2021/02/25 21:00
仁科友里(ライター)

 ダウンタウンが出演する心斎橋筋2丁目劇場での生番組の前説と後説をしていた今田と東野幸治。番組が終わった後に「じゃんけんに勝った人に、ダウンタウンさんのサインが入った台本をプレゼント」という企画をやっていたそうだが、これは番組を終えてスタジオから出るダウンタウンを観覧客が追いかけないよう、スタジオ内に足止めするための時間稼ぎだったそうだ。早くスタジオを出たい観覧客は、全然ノってこない。なので、東野が手を抜いてやっていたところ、当時、劇場支配人だった大崎氏が、舞台の袖から東野を手招きする。東野が舞台の袖にひっこんだところ、大崎氏が東野の腹に蹴りを入れる姿を、今田は目撃したという。

 そんな大崎氏を、今田は「激高する」「常にどっかから見張っている、一人とは思えないくらい」と証言していた。これらのエピソードから推測すると、大崎氏は気配りが細かく、カンが良いゆえに仕事ができるものの、キレたら手が付けられない性格ということだろう。こういう人は一度怒らせると面倒なことは想像に難くない。

 怒りの熱が冷めにくいタイプの人に、大崎氏が無下にできない、紳助さんのようなビッグネームを使って外堀を埋めるような行動を取ると、宮迫に対する印象はますます悪くなり、復帰も遠のくのではないか。

 世渡りがうまい人の条件として、「人を怒らせるけれど、許されるのがうまい人」と「人を怒らせないのがうまい人」が挙げられると、私は思っている。前者は頻繁に問題を起こすが、かわいげがあるので「悪気はないんだよね」となぜか許されてしまうタイプ、後者は「絶対に怒らせてはいけない人を知っているタイプ」なので、厄介ごとには最初から巻き込まれない。今田は後者のタイプなのではないか。

 同番組内で、今田は鬼越トマホークに「お前、永遠に二番だぞ」と言われたことがあると明かしていたが、野球チームが4番打者だけでは成り立たないのと同じで、誰もが一番手になる必要はないだろう。「〇番手」であるかにこだわるより、「〇番手のトップ」になったほうが、芸能人生命は長くなるのではないだろうか。大崎氏とダウンタウンは盟友関係といわれ、ダウンタウンは吉本興業の「一番手」格に当たるが、今田は「二番手のトップ」として、間近でダウンタウン、そして大崎氏を見ていたからこそ、芸でも身の振り方もやっていいこと、悪いことを見極められたのかもしれない。

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