『にじいろカルテ』高畑充希、井浦新らが歌う「にじ」大好評! 俳優たちはなぜ歌うのか……湯山玲子氏が解説
——女優でいえば、松たか子さんも、今年のアカデミー賞で各国のエルサ役とともに堂々と『アナと雪の女王2』の主題歌「イントゥ・ジ・アンノウン」を歌い上げていました。
湯山 松たか子さんは、確かに両方の表現者として秀でている。女優だとほかには、大竹しのぶさんもすごい世界観持ってる。渡辺えり子さんのシャンソンもすごくいいんですよ……ってこのお二人はちょっと大御所すぎる? 若手だったら、高畑充希も芸達者。CMでもX JAPANの『紅』を歌って話題になってたけど。
——高畑さんは歌手活動も活発で、コブクロの小渕健太郎プロデュースのデビュー曲『大切なもの』(2007・みつき名義)や、竹内まりやさんが楽曲提供したアルバム『PLAY LIST』(2018)をリリースするなど、実は以前から音楽活動もやっています。
湯山 でも、あんまり知られてないかも。本人にそこまで歌手活動の興味がないのかな? 00年前後はともさかりえが、さかともえり名義でテクノポップっぽいことをやってみたり、小西康陽が深田恭子に渋谷系っぽい曲を歌わせて遊ぶみたいな時代があったけど、いまはそういう目立ったコラボがないですよね。アテ書きを楽しむ職業的作曲家がいなくなってることも影響してると思うけど、当時の女優の歌は自分を素材にいじって遊んでもらうパターンが多かったかもね。いま、そういう感じで歌っている女優っているのかな……。
——満島ひかりさんはどうですか? 大沢伸一さんや、小沢健二さんともコラボしています。
湯山 彼女がボーカルをやったMONDO GROSSOの「ラビリンス」はよかったよね。PVがめちゃくちゃかっこよくて。ドラマ『カルテット』(TBS)のエンディングで流れる『おとなの掟』を松たか子、満島ひかり、高橋一生、松田龍平の4人で歌ってたけど、声が独特。確かに彼女なんかは、歌の世界にも自分がやりたいことがしっかりあって、自発的に選んでいる感じがする。
あとは、それこそ『カルテット』の主題歌を書いた椎名林檎には、ぜひ女優をやってほしかったりする。レディー・ガガみたいに、自分で主演映画とか撮らないかな……。
(後編に続く)
湯山玲子(ゆやま・れいこ)
映画、音楽、食、ファッション、クラブ・カルチャーなど文化全般を横断しながら執筆を展開。『ごごナマ』(NHK)をはじめ、テレビ番組にコメンテーターとしても出演している。著書に『女ひとり寿司』(幻冬舎文庫)、『女装する女』(新潮新書)、『男をこじらせる前に』(角川文庫)など多数ある。