コラム
老いゆく親と、どう向き合う?

限界を見た姑の介護、それでも「最期まで本当にいい姑でした」と語る胸中とは?

2021/01/31 18:00
坂口鈴香(ライター)

 介護の過酷さを嫌というほど味わった東野さんだったが、これで介護は終わりにはならなかった。

 認知症になった母親を引き取ることになったのだ。同居していた妹が母親の異変に気がついた。

「同じものをたくさん買っていたようで、病院に連れていったところ認知症だとわかりました。そのうえアル中であることが判明したんです」

 あれほど、父親のアルコール依存症で大変な思いをした母親が同じ病気に。東野さんは大きな衝撃を受けた。

 東野さんにも、思い当たるフシがなかったわけではない。母親は、父親が元気だったころから一緒に晩酌していた。父親の死後、母親が「飲むとだらしなくなるな」と感じてはいたものの、さすがにアルコール依存症とまでは考えていなかったという。

 当の母親も、「夫と同じアルコール依存症」と言われたショックは大きかったようだ。それでも、すぐに酒をやめることはできなかった。依存症なのだから、当然といえば当然なのだが。

 アルコール依存症が原因で認知症の症状がひどくなったのかどうかはわからないが、母親は被害妄想が激しかった。

「ものを置き忘れたり、なくしたりしては、妹を泥棒扱いして責め立てたようです。それでとうとう妹が精神的に参ってしまいました」

――続きは2月7日公開

 

坂口鈴香(ライター)

終の棲家や高齢の親と家族の関係などに関する記事を中心に執筆する“終末ライター”。訪問した施設は100か所以上。 20年ほど前に親を呼び寄せ、母を見送った経験から、 人生の終末期や家族の思いなどについて探求している。

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最終更新:2021/01/31 18:00
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