「ムショの美容室」をご存じですか? 元女囚が明かす、刑務所のお正月とヘアケア事情
今年のお正月は、コロナでいつもと違う感じですが、ムショや拘置所にいるときは、お正月が待ち遠しかったですね。
予算は年々厳しくなって、メニューもしょぼくなってるそうです。それがイヤなら入れられるようなことをするな……ちゅうことなんですけど、瑠美がこうやって書かせてもろてるのも、ムショに行ってたおかげなので、まあ「なんでも勉強」ちゅうことです。その時はつらいけど、どんな経験もムダにはならないんやなあと思います。
それにしても、ムショに関しては、いろんな人がいろんなところでいろんなことを書かれてますが、知られてない話も多いですね。
刑務所に一般の人が使える美容室があるの、ご存じでした? 全部の施設にはないですけど、和歌山刑務所(和歌山市)や笠松刑務所(岐阜県笠松町)、川越少年刑務所(川越市)などは、美容室や理容室があります。
これがなんと漫画になっていて、去年の誕生日にいただいて読みました。タイトルは、ずばり『塀の中の美容室』(小日向まるこ・桜井美奈、小学館)。更生やムショをめぐる「ええ話」です。
そもそもムショは「迷惑施設」なので、「地元には何かお返しせなアカン」的なところがあるんですね。懲役が作った刑務作業品を安く売る「矯正展」(去年はネット販売のみでした)とか、施設によっては運動会にご近所さんをご招待するとか。
懲役(受刑者)がハサミを持つなんて怖い……と思われる方もいらっしゃるかもしれませんが、そのへんは大丈夫のようです。テクニックはまあまあだそうですが、何よりお安いので、気になる方は施設に問い合わせてみてください。
漫画そのものは重すぎなくて、でもポイントは押さえてあって、読みやすいです。ただ、「主人公が収監からほとんど髪を切ってない設定」は、ちょっと微妙でしたね。ムショや拘置所は、夏場でも1日置きにしかお風呂に入れないし、冬は冬でドライヤーもないから、髪が長いと大変です。ゆうてもみんな伸ばしたいので、冬は乾かなくて髪が凍ることもあります。マジですよ。
まあ、そんな細かいところはともかく、一生懸命働いて、人から感謝されることで更生につながることはありますからね。更生といえば、奈良県の荒井正吾知事は、参議院議員時代に法務委員を務めた経験もあるそうで、出所者支援に力を入れているとニュースに出てましたね。
奈良県は、「司法と福祉をつなぐ」「すべての困っている人を助ける」「県は就労、生活支援、社会復帰に全力を尽くす」を掲げて、出所者支援に力を入れているそうです。
やっぱり知事さんみたいな力のある人が言うてくれれば、いい方向へいきますよね。あとは本人の自覚です。