サイゾーウーマンコラム「父を助けてください」向精神薬で“廃人”にされた親、老人ホーム施設長のあぜんとする本音 コラム 老いゆく親と、どう向き合う? 「父を助けてください」向精神薬で“廃人”にされた親、老人ホーム施設長のあぜんとする本音 2021/01/03 18:00 坂口鈴香(ライター) 老いゆく親と、どう向き合う? 施設長「要介護5になって、特養に入るのが一番いい」 娘さんの話を聞いた緒方さんは、Hさんが入っている施設を訪ねた。すると驚くべき実態が明らかになったのだ。 「うすうす感じてはいましたが、Hさんがあっという間に寝たきりに近い状態になったのには、向精神薬の多用が原因でした。施設に入居したことで突然環境が変わり、不安になったHさんが介護拒否をし、ときにはスタッフに暴力をふるい、暴言を吐くようになったため、施設はクスリで静かにさせることにしたのです」 緒方さんは、耐えられないというような悲痛な表情を見せた。 おそらくこれが、中村さんが父親を入れている有料老人ホームのスタッフから「父親に投与したい」と言われた「ボーっとさせるクスリ」なのだろう。中村さんの父親のホームは、まだクスリを使用していいか家族に許可を求めただけマシだったのかもしれない。 Hさんはそのクスリの量や種類を増やされ、一気に廃人になったのだろう。それほどHさんの変貌は激しく、そして急だった。Hさんの娘さんが「せめて昼は起きていてほしい」と、緒方さんにすがったのもよくわかる。 しかし、施設長の言葉はそれだけでは終わらなかった。 「『私は、Hさんのことが嫌いです』と言われたんです」 もちろん介護に携わる職員なら誰もが聖人であれ、というつもりはない。人間だから相性もあるだろう。だが、それを大っぴらに口にするとは。いくらスタッフがHさんの暴力や暴言で傷ついていても、「嫌い」と言ってしまうのは介護職失格ではないか。 さらに、この施設長からはこんな“本音”も出たという。 「Hさんのような人は、一番重度の要介護5になって、特養に入るのが一番いいんですよ」と。 緒方さんが同業だから本音が出たのかもしれないが、あまりに残酷だ。いやしくも介護を生業(なりわい)としている人が、ここまで言ったことにあぜんとする。 そして同時に、こういう施設が実際にあるということに戦慄した。これも立派な虐待だ。クスリではなく、毒だ。 ――続きは1月10日公開 前のページ12 坂口鈴香(ライター) 終の棲家や高齢の親と家族の関係などに関する記事を中心に執筆する“終末ライター”。訪問した施設は100か所以上。 20年ほど前に親を呼び寄せ、母を見送った経験から、 人生の終末期や家族の思いなどについて探求している。 記事一覧 最終更新:2021/01/03 18:00 楽天 高齢者に「キレない」技術 こんな胸糞なホームに当たったら悔しすぎる 関連記事 父親が老人ホームの女性スタッフにセクハラ!? 「同意しないなら退去」担当者が提示した条件老いてから金に執着するようになった母ーーその悲しい理由とは? 「年金で足りない費用」めぐる家族関係母が自傷行為で「閉鎖病棟に入った」――半年後、退院してから息子が覚えた“大きな違和感”「自傷行為をするようになった母」父が亡くなって12年、積み重なる違和感は「年を取ったから」だと考えていた息子「末期がんの父、離婚した息子」娘が見つめた家族の結末――母にとっては「願ってもないこと」と語るワケ 次の記事 現場スタッフに人気の高い俳優3人 >