「住みたい街ランキング」上位のカラクリが明らかに!? 「本当に住みやすい街」3つのポイントをプロが伝授
――「本当に住みやすい街大賞」では、審査基準に“教育・文化環境”が含まれています。ファミリー世帯向けの「住みやすい街」を紹介しているということでしょうか?
櫻井 はい、そうです。というのも、住宅ローン「フラット35」は、ファミリー世帯向けの住宅が組みやすいタイプのローンで、ワンルームには適用されないという事情があります。また、新しく開発されるエリアではまず、ファミリー世帯が進んで購入したがる「土地が安く、ゆったりした広さのマンションや一戸建て」が最初に建設されていくことも、理由の一つです。
ファミリー世帯は、利便性よりも部屋の広さを重視する傾向があり、「たとえ駅周辺に店が少なくても、週末にまとめ買いをすればいい」と考えます。一方で、単身者や子どもを持たない世帯は、利便性重視の傾向が強い。利便性を高めるためには、まずファミリー世帯を街に定着させて、商業施設や飲食店を増やす必要があるわけです。
そうすると必然的に、“誰にとっても住みやすい街”ができていきますが、当然、住宅の値段は上がります。逆にいえば、価格が上がる前に家を買えるのが、ファミリー世帯なんですよね。そういった背景を考えたうえで、「本当に住みやすい街大賞」では、今後開発が進んでいくであろう地域を先取りするため、ファミリー世帯の需要を加味しています。
――「誰にとっても住みやすい街」は、具体的にどんなポイントを見て探せばよいのでしょうか?
櫻井 「誰にとっても」となると、やはり一番重要なのは「購入価格」ですね。「住んでいて心地よい」と感じる基準は人それぞれですが、価格は客観的で厳然たる事実なので、まずは自身の懐事情を考える必要があるでしょう。
次に大切なのは、「通勤・通学の利便性」。コロナ禍で普及が進んだといわれるテレワークも、実際には期間限定的な側面がありますし、いざという時のことを考えると、通勤や通学に便利な場所のほうが、やはり安心感があるものです。ちなみに、北海道のあるマンションでは今年4月から9月にかけて、首都圏から200組もの購入希望者が資料請求をしたそうですが、 実際に家を買ったのは2組だけだったとか。コロナ禍の影響を受けて地方に移住する人はかなり少なく、今後も「住みやすい街」の基準は大きく変わらないでしょう。
最後のポイントは「地縁」です。今住んでいる場所から近い、以前住んでいた街、親戚が住んでいるなど、その場所に対する“なじみ度”のようなものです。多くの人は、縁もゆかりもない場所よりも、自分にとってある程度慣れ親しんだ場所に住みたいと思いますし、それが「住みやすさ」にもつながっていきます。