『大家族石田さんチSP』10.8%獲得! 視聴率はいいのに「大家族番組が嫌い」という視聴者が多いワケ
日本で最も有名な大家族の一つ「石田家」の特番『まさかまさかの2020 大家族石田さんチ~人生、山あり谷ありSP~』(日本テレビ系)が11月26日に放送され、10.8%(ビデオリサーチ調べ、関東地区)を獲得した。
取材班が石田家に密着を始めて早24年。長年、同番組を追ってきた視聴者にとっては待望の新作となり、石田家にどんな山あり谷ありが起こったか、子どもたちがどんな成長を遂げたかなど、ネット上では実況が大いに盛り上がっていたようだ。
大家族番組の醍醐味といえば、さまざまなトラブルを、家族が一丸となって乗り越えていくところだろう。視聴者は、彼らの姿に大きな感動を覚えるものだが、一方では、大家族番組を嫌う層は少なからずいる。その主たる理由は「大家族ならではの貧困で、苦労を強いられる子どもたちを見ていられない」というものだ。
石田家の場合は、裕福な家であるため、そうした視点抜きに楽しめるという視聴者も多いが、確かにほかの大家族番組だと、子どもたちが進学を諦めたり、家計を支えるためにアルバイトに奔走することは珍しくない。しかし、大家族番組は長年ヒットコンテンツで、高視聴率を叩き出すのも事実だ。
サイゾーウーマンでは過去に、大家族番組を「好き」という人と、「嫌い」という人――それぞれどんな心理が働いているのかに迫る、神奈川大学心理相談センター所長、人間科学部教授である臨床心理士の杉山崇氏のインタビュー記事を掲載した。『大家族石田さんチSP』の熱気が冷めぬいま、あらためて公開する。
(初出:2018年1月20日)
大家族番組が嫌いな人は「自分のことで頭いっぱい」――“イライラの原因”を臨床心理士が解説
テレビ界のヒットコンテンツの1つである“大家族番組”。これまで、三好家、青木家、林下家(ビッグダディ)、石田家、渡津家など、さまざまな大家族がテレビに登場し、大家族ならではの苦労やトラブルを赤裸々に明かし、それを一丸となって乗り越えるさまをお茶の間に届けてきた。こうした大家族番組は、軒並み高視聴率を叩き出し、その多くがシリーズ化されている。
しかしそんな中、こうした大家族番組が「嫌い」という人も少なくない。1月14日、あるTwitterユーザーが、大家族番組に関してこんなツイートを投稿し、話題を集めた。
「ぶっ叩かれるの覚悟で言いますけど、私は大部分の大家族番組というものが嫌いで、無計画に子作りして案の定家計が火の車、子供達にはお腹いっぱいご飯を食べさせず、挙げ句の果てには『中学出たら働け』。そんな実録家族ドラマのどこに感動要素があるのかわかりません」
このツイートは多くの共感を呼び、大反響を巻き起こした。確かにテレビで取り上げられる大家族は、経済的に困窮している場合が多く、また子どもたちが中卒で社会に出るというケースも珍しくはない。
『貧乏に負けるな!2男12女ワケアリ大家族』(テレビ東京系、2014年4月放送)で取り上げられた、島根県浜田市の渡津家は、育ち盛りの子どもの食事が「おかずはブロッコリーだけ」「白いご飯に卵のそぼろを混ぜたもの」のみという日も。
また、『「水トク!」激闘大家族スペシャル 17歳で産んだ我が娘が17歳でまさかの妊娠』(TBS系、15年1月)に登場した、福岡県福岡市の濱本家の長女は、家計を助けるために中卒で就職。実家の家事も手伝うという働き者だったが、終盤で「仕事を辞めて遊びに出るようになったこと」への罰として、親から丸刈りを強制されるという衝撃的な展開を迎えていた。
こうした大家族の生々しい現実を見せられることを「不快」と感じ、さらにそれを美談に仕立て上げられることに疑問を覚える人たちがいるのも頷ける。しかし、前述の通り、大家族番組はヒットコンテンツ。放送を楽しみにしている視聴者も多いのだ。
大家族番組を「好き」という人と、「嫌い」という人――それぞれどんな心理が働いているのだろうか。神奈川大学心理相談センター所長、人間科学部教授である臨床心理士の杉山崇氏は次のように語る。