コラム
老いゆく親と、どう向き合う?

母が自傷行為で「閉鎖病棟に入った」――半年後、退院してから息子が覚えた“大きな違和感”

2020/11/29 19:50
坂口鈴香(ライター)

 母親がこのグループホームに入って2年になる。コロナ禍で面会はできないが、先日母親の誕生日に特例で面会がかなった。認知機能はそう悪化していないようだった。鷲津さん家族の顔も認識できているし、コミュニケーションも取れる。

 そんななか、一番大きな違和感は金銭感覚なのだという。

「今は私が母のお金を管理しています。グループホームに入るまでは母親が管理していましたが、友人にお金を貸していたりしてトラブルのもとになっていたんです。最初は母も『自由になるお金がほしい』と抵抗していましたが、グループホームには大金を持ってこないように言われているので、日用品を買うくらいのお金しか持たせていません」

 そのせいか、母親はとにかくお金のことが心配でたまらないようだという。

「そもそも母には国民年金しかないので月4万ほどしか入ってきません。それなのに、『年金がもうずいぶん貯まっているはずだ』とか言うんです。13万のグループホームの費用にもまったく足りなくて、私が出しているというのに……」

 母親がそれほどお金に執着するのには、理由があるのではないか? そう聞いてみると、「実は……」と鷲津さんは話し出した。

――続きは12月6日公開

 

坂口鈴香(ライター)

終の棲家や高齢の親と家族の関係などに関する記事を中心に執筆する“終末ライター”。訪問した施設は100か所以上。 20年ほど前に親を呼び寄せ、母を見送った経験から、 人生の終末期や家族の思いなどについて探求している。

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最終更新:2020/11/29 19:54
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