カルチャー
金子恵美『許すチカラ』座談会(前編)

妊娠中に夫が不倫……妻はどうする? 金子恵美『許すチカラ』から考える、「許す・許さない」の境界線【既婚・未婚座談会】

2020/11/29 10:30
サイゾーウーマン編集部

――もし自分が金子の立場だったら、宮崎を許しますか?

C 私は、さっさと離婚します(笑)。読んでいて気になったのが、「許す・許さない」という判断だと、夫婦間で上下関係が発生しそうだと思ったんですよね。金子は「夫を許して幸せになれた」と言っていますけど、どうしたって“許してあげた側”の立場が上になるじゃないですか。もし自分が何かしらのミスをして、夫から「許してあげた=立場が上」だと思われていたら、すごく嫌だと感じたんですよね。夫婦なのに対等な関係じゃなくなるのは、ちょっと変だなというか。まあ一番の理由は、不倫するやつはバレてもどうせまたやると思うので、早めにサヨナラしておきたいからですが。

A 私も、基本的に不倫は許せないですね。ただ、金子たちの置かれた状況だと……「許さないとダメ」なのかもしれない、とも思うんです。宮崎が自分の妊娠中に不倫していたことは世間に知れ渡っているので、これで別れると、子どもも「お前のパパ不倫しただろ!?」とか言われちゃいそう。不倫したことを知られてしまっているからこそ、もっと深刻な状況にならないように、丸く収めたいかな。

B 子どもの存在は引っ掛かりますよね。離婚はしないで、騒動を丸く収めるための方法を考えるとか、夫に何かしら手を差し伸べるという選択肢はあり得ると思います。ただ、それが気持ちの上でも「許している」のかと聞かれると、別問題かも。「許す=離婚しない」「許さない=離婚」とは、限らないじゃないですか。

 ただ、あれだけの騒動を起こしたんだから、「この先は私の好きにさせろよ」とは思うかもしれません。離婚する・しないを決めるのは私だし、子どものことにしろ、家庭内のあらゆることもすべからく自分が主導権を握る、みたいな。そこは不安感や悔しさから、夫婦間で上下関係を作り上げてしまいそう。

C 私は子なしかつ、欲しいとも思っていないので「さっさと離婚」を選択しますけど、やっぱり子どもの存在は、かなりネックになるようですね。

B 子どもがいなかったとしても、子どもを望んでいる場合は、いろいろな計算をするじゃないですか。妊活中に夫の不倫がわかったとして、離婚して別の相手を見つけて結婚して子どもを産む……と考えると、結構な時間をロスしそう。だったらとりあえず、表面上は許したことにして、妊娠・出産をして、子どもがある程度育ってきたらまた考えよう、となる人がいてもおかしくはないと思います。

C 確かに、妊娠や出産のタイミングが関わると、自分の“気持ち”だけで動けない部分が出てきそう。結局、不倫を許す・許さない、離婚する・しないは、個人の価値観や子どもの存在など、状況によっても大きく変わるものですよね。許した人が素晴らしいわけでもなければ、許さない人の心が狭いわけでもない。「夫を許せた」は、単なる自己満足って思ったほうがよさそうですね。

――実際、金子もこの本に関連するインタビューで、「許さないことを否定するものではない。 許す人は心が広くて強い女性だと捉えられたくないし、 それを押し付けるものでもないということだけは、 ちゃんと伝えておきたい」と語っていました(10月23日配信マイナビニュース「金子恵美、夫の不倫から4年…許す決断は『間違ってなかった』 真のパートナーに」より)。

A これは金子の言う通り(笑)。彼女が許したからといって、この世の不倫された妻が全員夫を許すわけじゃないので、勘違いしてほしくないですね。

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