カルチャー
金子恵美『許すチカラ』座談会(前編)

妊娠中に夫が不倫……妻はどうする? 金子恵美『許すチカラ』から考える、「許す・許さない」の境界線【既婚・未婚座談会】

2020/11/29 10:30
サイゾーウーマン編集部
『許すチカラ』(集英社)

 元衆議院議員で、現在はコメンテーターとして活動する金子恵美が、著書『許すチカラ』(集英社)を上梓した。彼女の夫で元衆議院議員の宮崎謙介は、2015年に「育休宣言」で脚光を浴びるも、翌16年、金子の妊娠中に不倫していたことを「週刊文春」(文藝春秋)に報じられ、議員を辞職。しかし、金子はそんな宮崎と離婚せず、夫婦でテレビ出演をするなど、“有名人の不倫”に厳しいこのご時世において、異例の動きを見せていた。

 しかし、今月27日にニュースサイト「文春オンライン」にて、宮崎の“二度目の不倫”が報じられることに。ネット上では「金子はこの不倫も許すのか?」「1回目で大丈夫だったから、またやったんだろう」といった声も聞こえてくる。

 『許すチカラ』で金子は、「私は夫を許して幸せになれた」と高らかに宣言している。夫婦が、そして女性が幸せに生きるために、「許すチカラ」は本当に必要なのだろうか? 疑問を抱いた女性3名(A:バツイチ&子あり、B:未婚&子あり、C:既婚&子なし)が語り合った。

金子恵美は「夫の不倫」に怒っていなかった?

――『許すチカラ』を読んで、どんな感想を持ちましたか?

C まず思ったのは、そもそも金子は、「夫の不倫」に怒っていないのでは? ということです。出産直後に宮崎から週刊誌に載ると聞かされた時、彼女は真っ先に「金銭問題」を恐れ、「女性問題」だと知ると安堵しているんです。宮崎から洗いざらい話を聞いてからも、「女性として裏切られたという腹立たしさ」より、「政治家としての彼の立場」に思いが向いていた、育休宣言をしておいて真逆の行動を取ったことが「同じ政治家として許せない」という思いだったと書いてある。彼女は最初から、不倫に対して特に怒っていないんですよね。

B この夫婦の場合、不倫よりパートナーにされたら困ることが山ほどあるんでしょうね。だから「不倫ぐらいなら」という気持ちになる、と。

C そうそう。彼女たちは当時、議員という立場があったので、汚職的なことをやったら逮捕されるかもしれないし、致命的。となると、もともとこの夫婦にとって、不倫はそこまで深刻な問題ではなかったのではないでしょうか。それを「私は許せました」って言われても……ねえ? 

A 不倫が「どうしても許せないこと」だったのかというと、どうやらそういうわけではなさそう。「夫の不倫が許せなくて苦しんだけれど、こうしたら許せました!」という話とは、全然違いますよね。

B 私が気になったのは、金子が育った家庭環境の話です。彼女の父親は新潟県で村長をやっていた人で、宮崎の不倫を聞いて、「政治家の女性問題なんて、昔だったらいくらでもあったよ」と言ったとか。そういう考え方の親の元で育っているから、夫の不倫にも寛容だったんじゃないのかと思ったんですよね。親から「別れろ」と言われることもないだろうし。なんか、この1行を読んで、残りのページがどうでもよくなりました(笑)。

A 一方で、後半のページでは、「男性が不倫相手の女性に『妻とは別れる』と言って口説いたことが許せない」みたいに書いてありましたよね。「妻の尊厳はしっかり守ったうえでなければルール違反だ」とか……。いや、不倫している時点でルール違反なんですけど? 奥さんの尊厳を守りながら不倫するって、どういうこと!?

C 「妻とは別れないけど、不倫相手の君とも関係を持つ!」って口説けばOKなんですかね。よくわからん(笑)。

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