万引きGメン、オンナ詐欺師に初遭遇! ポテサラの「半額シール付きふた」を悪用、その “図々しい手口”とは?
事務所に到着して、不正に購入したポテトサラダと果実を隠したポリ袋をデスクに出してもらい、現場で押収した被害品と一緒に並べます。事務所で事務作業をしていた店長に声をかけて状況を説明すると、損壊された商品とカマキリ女を一瞥して、すぐに警察を呼び始めました。通報に気付いて暴れる人もいるため、気を逸らすように身分証の提示を求めると、身分を証明できるものは持っておらず、この店のポイントカードを提示されます。話を聞けば、カマキリ女は62歳。この店の裏にあるアパートで一人暮らしをしているそうで、この店には長年にわたって毎日来ているのだと、常連客の顔で胸を張っています。
「毎日、こういうことをしていたってこと?」
「毎日じゃないけど、たまにね。もうしないし、全部返すから、勘弁しておくれよ」
悪びれた様子は微塵も見せずに、まるで井戸端会議に参加しているような雰囲気で笑いながら話すカマキリ女に、通報を終えた店長が目を三角にして怒鳴りました。
「おい、あんた。たまにって、どういうことだよ。あんたは軽い気持ちでやっているのかもしれないけどよ。こっちからすれば、すげえ迷惑なことだぞ、これ」
「わかってますよ。そんなに大きな声出さないで」
「はあ? あんた、自分の立場わかってる? 立派な犯罪なんだぞ、これ!」
「はいはい、すみませんでしたね……」
店長から目を逸らし、不貞腐れながら謝罪するカマキリ女に対して、店長の怒りは収まりません。
「てめえ、なめてんのか? ババアだからって、承知しねえぞ、この野郎!」
事務所の窓が共鳴するほどの大声でカマキリ女を一喝した店長は、警察官が到着するまでの間、ずっと怒鳴り散らしていました。理由はどうあれ、同年代の女性が若い男性に怒鳴られている姿を見るのは痛々しく正視に堪えませんが、残念ながら止める立場にもありません。結局、駆けつけた警察官に説得される形で、損壊した商品を全て買い取ることになったカマキリ女は、嫌々ながらに財布から金を出すと、この店のポイントカードも一緒に取り出して言います。
「ポイント利用でお願いします」
「気持ちはわからないでもないけど、少しは立場をわきまえろよ」
突拍子もないカマキリ女の発言に警察官が失笑を漏らす中、お金とポイントカードを受け取った店長は、デスクの中からはさみを取り出して言いました。
「あんたは、もう出入禁止だから、ポイントカードは返してもらうよ」
「ええ? ここに来れないと、困っちゃうんだけど……」
食い下がるカマキリ女の懇願を遮るように、あえて面前でポイントカードを裁断してみせた店長の意地悪な顔は、いまも目に焼き付いています。
(文=澄江、監修=伊東ゆう)