朝ドラ『おちょやん』リアル人生

朝ドラ『おちょやん』、原作NGになった「ヤバすぎる」ストーリーとは!? NHKヒロインの「ドス黒い」人生

2020/11/21 17:00
堀江宏樹(作家・歴史エッセイスト)

便所で自殺未遂、猫に救われる

 『水のように』には何回も自殺未遂のシーンが出てくるのですが、やっぱり「おちょやん」時代にもそういう気持ちになってしまうことがありました。

 原因はわずか2銭のことです。店の人から買い物を頼まれ、オツリの2銭を不注意で失ってしまいます。2銭を自分のフトコロに入れたと疑われることがイヤだったので、自殺しようと浪花さんは心を決めたのでした。

 首吊の場所として選ばれたのは、やっぱり便所……。しかし猫が何かを察したらしく、便所に乱入、まとわりついてきたので自殺しなくて済んだらしいのです。それ以来、浪花さんは猫を大事にしたそうです……。

 このような「ドス黒い汚点」ばかりの記憶が惜しげもなく披露されていくわけです。

 その後も続くわ続くわ、苦労の日々。「おちょやん」時代を抜け出し、あるご家庭の女中になったときも、給料はすべて先払いで、例のダメな父親が持って逃げた後だったりしたのです。悩んだ浪花さんは、

「そうだ、京都へ行こう」(原文ママ)

 と思い立ったのでした。

ーー後編に続きます!

 

堀江宏樹(作家・歴史エッセイスト)

堀江宏樹(作家・歴史エッセイスト)

1977年、大阪府生まれ。作家・歴史エッセイスト。早稲田大学第一文学部フランス文学科卒業。日本・世界を問わず歴史のおもしろさを拾い上げる作風で幅広いファン層をもつ。著書に『偉人の年収』(イースト・プレス)、『眠れなくなるほど怖い世界史』(三笠書房)など。最新刊は『隠されていた不都合な世界史』(三笠書房)。

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Twitter:@horiehiroki

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最終更新:2020/11/21 17:08
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