コラム
仁科友里「女のための有名人深読み週報」

立川志らく、「料理は女性がするもの」議論の発言に考える『グッとラック!』が視聴率低迷のワケ

2020/10/08 21:00
仁科友里(ライター)

 志らくは「女性だからといって料理をする必要はない」と言ってしまうと、これまで専業主婦として家庭に貢献してきた年配の女性視聴者の生き方を否定していると思われることを恐れたのかもしれない。しかし、だからといって「現代の女性が、そういう世代を否定するのは失礼」とまで言い切ってしまうと、今度は現代の女性から「私たち、一言もそんなこと言ってませんけど?」と反感を買うだろう。味方をするふりをして、敵を作ってしまうわけだ。

 それはハセンアナも一緒で「料理を女性に作ってもらうことに憧れがある」と女性を崇めるようなことを述べつつ、カメラの回っていないところでは「料理ができないとモテない」と言ってしまっている。「結局、女性を低く見ている」と言わざるを得ない小ネタがぽろぽろ出てきてしまうことから考えると、ポテサラ騒動以降も二人とも女性の味方になりきれていないのだ。

 そうなると、女性視聴者の心をつかむには、女心に精通し、独身時代にはプレイボーイとして鳴らした淳頼みになるが、その淳が「女性誌が料理を作れとあおっていることについて、どう思う?」と女性陣に質問してしまう。淳が具体的な女性誌の名前を挙げたわけではないが、私個人の感覚としては「料理を作ればモテる」という記事は年々少なくなっているように感じる。

 料理の代わりに増えたと感じるのが、筋トレの記事だ。お笑い芸人のゆりやんレトリィバァが、食事改善と筋トレで30キロ以上痩せたそうだ。ダイエットというと、痩せてきれいになることで恋愛に積極的になれる、つまり男性のためだと連想する人もいるだろう。しかし、「MAQUIA」11月号(集英社)によると、ゆりやんも今までは好きな人に振り向いてもらうためにダイエットをし、失恋するとリバウンドしていたそうだが、「体を鍛えて痩せることは、誰のためでもなく、自分のため」と気づいてから、結果を出せるようになったそうだ。

 男性のための努力ではなく、自分のため。多くの筋トレ好き女性の意見を、ゆりやんは代弁した形になったのではないだろうか。同様に、昨今では料理に関しても、男性のためにするものではなく、日々の生活や自身の楽しみのためにするものという価値観になってきたのではないか。

その昔、「嫁の条件105カ条」を公言し、女性が自分に合わせることを当然としてきた淳が、この女性心理の変化を理解できるのか……。

 船頭多くして船山に上るというが、メイン出演者を見る限り、この番組の先行きはなかなか厳しそうな気がしてならない。

仁科友里(ライター)

1974年生まれ、フリーライター。2006年、自身のOL体験を元にしたエッセイ『もさ子の女たるもの』(宙出版)でデビュー。現在は、芸能人にまつわるコラムを週刊誌などで執筆中。気になるタレントは小島慶子。著書に『間違いだらけの婚活にサヨナラ!』(主婦と生活社)、『確実にモテる 世界一シンプルなホメる技術』(アスペクト)。

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最終更新:2020/10/08 21:00
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