麻辣、激辛ブームの次は……!? 全国161品のナンバー1決定戦「調味料選手権2020」審査会に行ってきた
食べるラー油、塩レモン、酒粕、麻辣……食にブームを巻き起こしてきた「調味料」。家庭の食宅に新たな味覚を与えてくれる存在だが、そんな調味料が全国津々浦々から集い、評価を競い合う選手権があるのをご存じだろうか? その名も「調味料選手権」。今年で11回目を迎える、日本野菜ソムリエ協会が主催する大会だ。
11月3日の「調味料の日(イイ味覚の日)」に最終審査を控え、現在まさに審査のまっただなか。今年集まった調味料は、北海道から沖縄まで全161品と過去最多。同大会のホームページを見ると酢、めんつゆといった定番調味料から、「親父と息子の合わせ技」や「だしプレッソ」という、味や使い方の想像がつかないものまでエントリーされている。いったい、これらをどのように審査しているのか? 今年の傾向はどんなものか? 一般人を対象にした「審査会」が行われていると聞きつけ、取材してきた。
この2〜3年は「辛味」のブーム
調味料選手権の審査員長で調味料ソムリエのMICHIKO氏によると、この2〜3年は「辛味」のブームがきていて、今回のエントリーにも反映されているという。
「山椒が入っているものや、唐辛子を使っているものが目立ち、唐辛子の種類も、さまざまになってきました。ほかには、タイなどエスニック系の調味料も登場していますね。地元の特産品を使い工夫を重ねた調味料、伝統的な調味料、こんな調味料が食べてみたかったと気付かされるような、アイデアが光る商品も多かったように思います。例年ですと、パッケージデザインにも傾向があるのですが、今回ははやりがなく、それぞれ個性的なものが多くて見ているだけでも楽しいです」
昨年の総合1位は「雲丹醤油」(株式会社ロコファームビレッジ)、2位に「ゴールデンマスタード」(GOLDEN MUSTARD株式会社)、3位は「発酵のちから サクサクしょうゆアーモンド」(キッコーマンこころダイニング株式会社)。3つとも、それぞれジャンルの異なる商品だが、過去10年の中でエントリーの傾向はどう変わってきたのだろうか?
「最初の頃は、まだ調味料の中心は『さ・し・す・せ・そ』で、今のように加工調味料などは多くありませんでした。10年前は、醤油といっても地域によって味が違うことをご存じない方も多く、九州の甘い醤油だったり、京都の淡口醤油だったり、それらが目新しい存在だったんです。そうした、土地土地の伝統的な『さ・し・す・せ・そ』が多く揃っていた時代を経て、今では、年ごとに新定番調味料、ご当地調味料、加工調味料などの新製品が登場しています」
たしかに、今でこそ九州の甘い「さしみ醤油」は一般的になったものの、10年前の関東地区では目新しく映ったことだろう。年々、調味料のバリエーションが増えている背景には、なにが考えられるのか?
「女性の社会進出がどんどん増え、簡単で手間なし、時短料理がもてはやされるようになりました。ご飯のお供や加工調味料などが人気となり、それに応えるようにメーカーも熱い思いで商品開発に取り組むようになっています。年々、調味料のへの関心は強くなっているとは感じていましたが、特に今年はそれを感じます。一つにはコロナ禍で家にいる時間が増えたことで、手軽にいつもと違う味わいに出会える調味料への興味が増しているのでしょう。そして、新たな調味料は食卓での話題にもなります。生産地や原料などを話すことも楽しいですよね」
「家食」への関心、ひいては調味料への興味が過去最高になっているといえる今年、果たしてどんな調味料が1位に選ばれるのか? 実際に、一般人も参加できる一次審査に参加してみた(事前申し込み必要、現在は受け付け終了)。