コラム
仁科友里「女のための有名人深読み週報」

花田優一、今度は歌手デビュー! 「肩書に興味ない」とのたまう彼に助言したいこと

2020/10/01 21:00
仁科友里(ライター)

 そんな花田だが、靴職人だけでなく、画家としても活動を始めた。花田のオフィシャルブログによると、『アートフェア2019』に出展した花田の絵は、初日に完売したそうだから、人の心をつかむ絵を描く才能があるのかもしれない。

 私は花田がテレビに出ることも、絵を描くこともまったく問題はないと思うが、それは靴を注文してくれた客との間にトラブルがないことが前提だと思う。1分1秒たりとも遅れてはならないとは言わないものの、高いお金をもらっている以上、責任はあるはずだ。逆に言うと、ちゃんと納期を守れた上で、テレビに出たり、絵を描いたりしていたら「マルチな才能」としてもてはやされるのではないかと思うが、なんと花田、靴職人としての仕事に力を入れるどころか、今度は歌手デビューをするそうだ。

 そんな花田に『情報ライブ ミヤネ屋』(日本テレビ系)が密着していた。歌手としての実績は何もないわけだから、常識的に考えるのなら、番組に「紹介していただく」立場なはずだが、花田は違う。「音楽系の飲み仲間とカラオケに行って歌っていたら、『うまいね、これ、いけるんじゃない?』という話になった」「ボイトレはしていないけれど、いい声が出てしまう」「一番は取りたい」「『紅白』って、日本人だったら、出てみたい」と語り、自らの才能に自信を持ち、活動にも意欲的な様子が伝わってきた。その姿からは、やはり「番組に出てやってる」という態度が感じられる。

 しかし、話が靴に及ぶと、途端に歯切れが悪くなる。抱えている靴の注文数を聞かれると、「どうでしょうか、30~40じゃないでしょうか」「(靴の注文は)最低限の量ですけど、受け付けています」と述べ、その表情は“あまり聞いてくれるな”と言わんばかりであったように、私は感じた。

 靴職人、画家、歌手と三足のわらじを履く花田に、番組スタッフが「今の肩書は何?」と尋ねると、花田は「本職って言葉があまり好きじゃなくて……」「僕に関しては、花田優一っていう人間が何かを作り出しているだけであって…」「肩書はあんまりこだわりはないので、興味はない」と話していた。

 「肩書はどうでもいい」。花田と同じように感じる若い人も多いと思うが、それでは、なぜ肩書を聞かれるのか考えたことがあるだろうか?

 花田は現在25歳だが、父親である貴乃花がその年のときは、すでに横綱になっていた。当時の彼に「あなたの肩書は何ですか?」と聞く人は、おそらくいないだろう。なぜなら、貴乃花が歴史に残るような国民的力士であることは、周知の事実だからである。

 それは母親である河野とて同じことだ。フジテレビに入社した河野は、同期である八木亜希子や有賀さつきさんらと共に、三人娘として「女子アナブーム」の先駆者となった人物。人気女子アナとして、日本中に顔が知れ渡っている河野に対し、肩書を問う人はいなかっただろう。

 肩書を聞かれるというのは、純粋に相手の肩書を知りたい場合もあるが、業績が知られていないので、何をやっているのかわからないから、本人に確認を取るしかないという意図がこめられていることもある。なので、もし花田が肩書とか本職という言葉が嫌いで、それについて聞かれたくないのなら、世間があっと驚く結果を出すのが一番なのだ。

 口の達者さと小ズルさ、ハートの強さがある花田は、おそらく職人のような地味な裏方はあまり向いていないように思う。靴の受注は、今以上に減らして、バラエティーに本格進出したらどうだろう。大御所に叩かれ、怒られても平然と言い訳できるキャラは、若者にウケるかもしれない。

 そう言えば、花田のお母さんである河野も貴乃花と結婚したときは、河野が年上ということもあって、かわいそうなくらいマスコミに叩かれた。しかし貴乃花は勝ち続け、河野は賢夫人としての地位を盤石にしていた。花田は今こそ、親譲りの粘り強さを見せる時なのかもしれない。

仁科友里(ライター)

1974年生まれ、フリーライター。2006年、自身のOL体験を元にしたエッセイ『もさ子の女たるもの』(宙出版)でデビュー。現在は、芸能人にまつわるコラムを週刊誌などで執筆中。気になるタレントは小島慶子。著書に『間違いだらけの婚活にサヨナラ!』(主婦と生活社)、『確実にモテる 世界一シンプルなホメる技術』(アスペクト)。

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最終更新:2020/10/01 22:23
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