人気バーチャルYouTuber、所属事務所が「一つの中国」支持表明で物議! 台湾から「許されない」「がっかり」の声
9月27日、バーチャルYouTuberが所属するホロライブプロダクションの運営元であるカバー株式会社が、所属タレント・赤井はあと、桐生ココの3週間にわたる活動自粛を発表。ネット上で物議を醸している。
バーチャルYouTuberは「仮想」を表す「Virtual(バーチャル)」と「YouTuber」を合わせた造語で、「VTuber」とも呼ばれている。“中の人”による声の演技と、人間の動きを連動させるモーションキャプチャー技術によって、CGで描かれたキャラクターが生身のYouTuberのように動画の投稿や配信を行っているようにみせているのだ。VTuberは年々増加しており、その人気は世界規模にまで広がっているが、赤井と桐生が活動自粛に至ったのは、中国の動画共有サイト「bilibili」で行った配信がきっかけだったという。
「9月24日に赤井が、25日に桐生が『bilibili』でそれぞれ動画配信を行い、2人とも“YouTubeアナリティクス”というデータ分析ツールを話題にしていました。その中で、彼女たちのチャンネル視聴者数『上位の国』として『台湾』を紹介したのですが、これに中国のユーザーが憤慨。周知の通り、中国は台湾を独立国家ではなく“中国領土の一部”としているため、台湾を“国”として扱ったことが問題視されたんです」(YouTubeに詳しいライター)
動画のコメント欄には、中国のネットユーザーから「謝罪しろ」といった批判が飛び、炎上状態に。これを受け、カバー株式会社は公式サイト上に日本語、英語、中国語で文書を掲載し、「一部地域に在住の方に対する配慮に欠けた発言」「ナショナリズムの配慮に欠けた言動」があったことを謝罪している。
「赤井、桐生ともにYouTubeのチャンネル登録者数は60万人を超えており、bilibiliの登録者数も、昨年チャンネルを開設した赤井が58万人、今年開設した桐生が16万人と、VTuberの中でも絶大な人気を誇っています。両者とも英語が堪能なこともあって、国内外を問わずファンを増やしていたのですが、今回の問題を受けて『bilibili』内にある公式チャンネルはBAN(追放)されてしまった様子。また、2人のTwitterアカウントにも、中国語や英語で『これは非常にデリケートな問題です。無知だと大変なことになる』『楽しい空間に政治が絡む話題を持ってきてほしくなかった』といったリプライが届いています」(同)
一方で、カバー株式会社は、bilibili内で「中国の主権と領土の完全性および『日中共同宣言』と『日中平和友好条約』を尊重し、あくまで一つの中国の原則を支持します」といった、公式サイトとは別の声明文を発表。台湾ユーザーから「台湾に対して許されないこと」「台湾人として、本当にがっかりしました」と、批判が噴出している。
「また、日本からは『これってVTuberが悪いんじゃなくて、YouTubeアナリティクスの問題でしょ?』『赤井と桐生はYouTubeアナリティクスの結果を読み上げただけ』と擁護の声も。こうして大きな騒動になった中でも、ネット上には『2人が戻ってくるのを待ってます』『このまま引退するのだけはやめて』といった投稿も多く、2人の復帰を待つファンは国内外にいるようです」(同)
「バーチャル」な存在とはいえ、迂闊な発言で大炎上を招いてしまった今回の騒動。それだけの影響力があることを、今一度確認する必要があるのかもしれない。