「オヤジ社会で頑張るオバサン」を大演出! 小池百合子、ベストセラー『女帝』に見る「ホステス脱却」の技巧
C 結局、女がトップに就いたとしても後ろで操っているのは男。政治の世界で女性はイメージアップの材料で、女性大臣を立てるのも男の言うことを聞くからなんだね。本書でそれがわかってしまって、本当に虚しいよ。
B 昔より女の政治家は人数こそ増えたけど、「女ならイメージがいい」という理由でポジションが与えられてるだけだったね。任されていることも、男がやりにくい仕事を“特攻部隊”としてやらせてるだけ。使い捨てできるコマ。そう考えると暗澹たる気持ちになるよね。
A 百合子がまた今後4年間も東京都のトップだよ。しかもぶっちぎりで再選。『女帝』は百合子になんのダメージも与えなかったってこと? 書店で売り切れが続いていたけど、実際に読んでる人は多くなかったのかもしれないね。
C でも、それまで卒業証書をはっきりと見せてこなかった百合子が、都知事選ギリギリ前の6月15日に、卒業証書と卒業証明書の原本を公開したから、ちょっと弱ってるのかと思った。以前の百合子なら、会見で疑惑を問いただされても、「なぜ今さら見せなきゃいけないんですか」とつっぱねてたはず。今回はヤバいと思ったのかな? 世間が「イメージに踊らされるのはもうやめよう」という空気になってきているのを察したのかもしれないね。
B 16年の公約「7つのゼロ」をほとんど果たしていないことが、世間にバレてると察したのかも。さすがの百合子も、弱ってきた?
A 百合子は絶対、東京オリンピックを開催したいから、今回の都知事選はなんとしてでも当選したかったと思うんだよね。そこで本書が出て風向きが危ういと悟り、非があることは認めて「それでも私を支持してください」と言いたかったのかも。
B オリンピックは百合子にとっちゃ、最高のステージだもんね。どんな着物やコスチュームを着て登場しようか、そればっかり考えてると思う(笑)。
C そういえば、環境大臣時代、水俣問題にもアスベスト問題にも無関心なのに「大臣の大FUROSHIKI」(06年)というイベントに参加して、オリジナル風呂敷を披露したね。レジ袋や紙袋ではなく風呂敷を使いましょう、という活動らしいけど、百合子らしい発想。自民党の女性議員は、「実効性を無視し人が手をつけてないことをやりたい、というお気持ちが強い」と百合子の性質をコメントしてた。たしかに、実効性ないよね。「東京アラート」も、「はい?」って感じだったし……。コロナ禍で生活が脅かされている人が増えてる中、お得意のパフォーマンスだけでは通用しなくなってきたと思うよ。
A もしかしたら都知事なんて本当は誰でもいいポジションだったのに、コロナやオリンピックがあって、百合子に負担がかかりすぎているのかもしれない。本来はこんなに頑張らなくても、打ち水したりコスプレしたり、キャッキャしてるだけで済んだのかもね。
B これまで百合子はお遊び担当だったけど、今は遊べる状況でないよ。世間的に、百合子を笑う余裕がないからね。
C 百合子を笑える時代はいい時代なんだね……。これから百合子は、また新たな武器を手に入れるのかな。
B 政治に興味がなかったけど、『女帝』を読んで政治の読み解き方を教えてもらえたように思う。その点は、百合子に感謝だよ!