「オヤジ社会で頑張るオバサン」を大演出! 小池百合子、ベストセラー『女帝』に見る「ホステス脱却」の技巧
B この本を読んで、マスコミはチョロいなと思ったよ。経歴のウソも、壮大なウソのエピソードも、無計画な政策もまったく問題視されずに駆け上がってこれた。百合子も、そう思っているんじゃないかな。
A 私も、この本を読んでマスコミはよくないと思った。本当にカイロ大学を卒業しているのか誰も調べない。百合子が語る鉄板エピソードに、飛行機事故を2度も回避できたという“強運物語”があるけど、そもそもその時期に事故はなかったとか、その日にフライトはなかったとか、ちょっと調べればわかるウソ。なのに、ホラ話を続けるのは、どうせわからないだろうと、テレビ業界や視聴者をなめているからだよ。
C そうそう。16年の都知事選で、対抗馬でがんサバイバーの鳥越俊太郎のことを街頭演説で「病み上がりの人」と言って、それがテレビでも流されたのに、テレビ番組の討論会でそのことが指摘されると、「いいえ、言ってませんねえ」と言い切っちゃう。それも「どうせ視聴者は真剣に見ちゃいない」と思ってるからだろうね。
A 結局、テレビの視聴者は、小綺麗な女性が男相手に頑張っていれば、それだけで盛り上がる。百合子自身には興味がないんだよ。百合子をここまで増長させたのは、いったい誰なんだろうと考えると、つらいな……。
B 女ってどうでもいいと思われてるんだね。だから、百合子はここまで放置されてしまった。実際、私自身もそう思ってたし。百合子じゃなくてもいい。女だったら誰でもいい。ただ男がトップにいる構造は見たくない。男に幅を利かされるよりも、女性に頑張ってほしい。そう思ってた。そういった気持ちを、百合子はうまく利用してきたんだなって、ようやく気づいたよ。
A そういう気持ちで百合子に票を投じている人は多いと思う。「築地女将さん会」のメンバーも「小池さんは環境大臣もしているから、さすがだって思ってた。女性だから正義感が強くて男の人と違って欲や利権に流されないんだろうって」「女の人が嘘をつくなんて。私、思わなかった⋯⋯」と言っていたね。
C 私もそう。百合子に対して悪いイメージはなかった。政策がからっぽでも、ファッションやメイク、話術でいいイメージがあった。それともう一つ、敵を自分でつくって攻撃するのもうまい。非常事態宣言を出す出さないで安倍晋三を敵に回したとき、生き生きしてた。
B 私もあのときは「百合子、頑張ってる」と思ったもん。