『テラスハウス』『クレイジージャーニー』『ニュース女子』……BPO審理・審議入りしたテレビ番組
5月23日、恋愛リアリティショー『TERRACE HOUSE TOKYO 2019-2020』(Netflix先行配信、フジテレビ系。以下『テラハ』)に出演していた女子プロレスラー・木村花さんが急逝し、世間に大きな衝撃を与えた。同27日には、その“現行シーズン”の打ち切りが発表された『テラハ』だが、ある“続報”が話題を呼んでいる。
「ニュースサイト『文春オンライン』は9月15日、『テラハ』が放送倫理・番組向上機構(BPO)の“審理入り”をしたと伝えています。記事によると、『テラハ』スタッフから木村さんに“やらせ”の指示があったといい、彼女の母親がBPOに申し立てを行ったそう。これにより、人権侵害の疑いがあるとして放送人権委員会で審理入りしたとのことですが、通常、申し立てから3カ月間の交渉期間を設けるところ、2カ月という異例のスピードだったそう。ネット上では『一刻も早く検証すべきだと思う』『これを機に、やらせが完全になくなってほしい』といった声が多く上がっています」(芸能ライター)
BPOによる“審理”とは、放送人権委員会や、放送倫理検証委員会、青少年委員会の3つのうち、該当する委員会が問題のあった番組を“審理”し、放送局に対して再発防止を求めたり、勧告などを行ったりするもの。このほかにも、BPOでは番組の質の向上のため、取材や制作のあり方などについての“審議”も行っている。この審理や審議の対象となった番組は、『テラハ』のほかにも多く存在する。
「最近だと、『クレイジージャーニー』と『消えた天才』(ともにTBS系)が放送倫理検証委員会で審議入りしています。『クレイジージャーニー』は、2019年8月に“爬虫類ハンター”が6種類の生物を捕まえるという企画を放送していますが、このうち4種類は事前にスタッフが用意した生物だったそう。にもかかわらず、番組内ではあたかもハンターが発見して捕獲したような演出がされており、“審議入り”となりました。『消えた天才』も19年8月の放送回において、野球選手が投げた球の映像を早回しし、球速が速く見えるように加工していたことが発覚。こちらも“審議入り”し、『放送倫理違反があった』との意見が出ています。なお、どちらの番組も同年10月に放送を終了しています」(同)
また、『テラハ』と同じく人権問題に関わるとして“審理入り”した例では、17年放送の情報番組『ニュース女子』(TOKYO MX)が挙げられる。
「17年1月の放送回で、沖縄県の米軍ヘリパッド建設への反対運動を特集した際、軍事ジャーナリストの井上和彦氏が現地を訪れ、反対運動をしている人たちに向かって『テロリストみたい』と発したほか、『韓国人はいるは、中国人はいるわ……“なんでこんな奴らが”と、沖縄の人は怒り心頭』と、人種差別やヘイトスピーチとも取れる発言を行ったことが、ネット上で問題視されることに。また、同番組で批判的に取り上げられた人権団体の共同代表である辛淑玉氏がBPOへの申し立てを行い、同番組は審理入り。18年3月には『申立人に対する名誉棄損の人権侵害が成立する』と勧告が行われ、番組も放送を終了。同番組は放送倫理上の問題もあったとして『放送倫理委員会』も意見を公表しました。なお、現在はネット配信へとシフトしています」(同)
テレビ番組の“やらせ”や人権侵害などの問題は、ネット上で視聴者から指摘されることも増え、世間の目が厳しくなっているのは確か。テレビ局をはじめとしたメディアは、表に出る前に注意深くその内容を検討してほしいものだ。