『ザ・ノンフィクション』日本で最も早く新型コロナに翻弄された街「コロナと中華街 ~私はこの街で生きていく~」
日曜昼のドキュメント『ザ・ノンフィクション』(フジテレビ系)。9月20日は「コロナと中華街 ~私はこの街で生きていく~」というテーマで放送された。
あらすじ
横浜中華街で40年営業を続ける広東料理店「龍鳳酒家」。渡り蟹のあんかけ炒飯と、具だくさんの広東風チマキが名物で、行列ができるほどの人気店だったが、新型コロナウイルス問題以降は客足が途絶える。売り上げはコロナ前の3割ほどまで激減し、店を創業した華僑二世の梁瀬隆治は「(店を)開けても地獄だし閉めても地獄」と苦しい現状を話す。
中華街は日本で最も早く新型コロナウイルスに翻弄された街だ。新型コロナウイルスは中国、武漢が発生源と言われており、さらに大勢の感染者が乗ったダイヤモンド・プリンセス号の停泊地は中華街から近い大黒ふ頭だ。番組内で放送された緊急事態宣言直後の中華街は、「当面の間休業します」と張り紙が貼られた店が続き、人もまったく歩いておらず、シャッター商店街のようになっていた。緊急事態宣言解除後も客足は思わしくない。
横浜中華街発展会には「中国人はゴミだ!細菌だ!悪魔だ!迷惑だ!早く日本から出ていけ!」と赤い字で、書かれた手紙が届いたり、街の門に「去れ」と書かれたりなど、心無い中傷もあったという。
春節を祝う祭りや毎年ゴールデンウイークに行われている横浜開港記念みなと祭のパレードも中止になる中で、6月、中華街では街を挙げて疫病退散の神事の儀式を行う。カラフルな獅子舞が踊りドラが鳴る光景に、報道陣や観光客が集まり、久しぶりに中華街はにぎやかな一日となった。これを皮切りに、という関係者の願いもあったものの、7月に神奈川県は再度の感染拡大で警戒アラートを発令し、中華街への客足はまた途絶えてしまう。
隆治の一人娘の郁瑛は「龍鳳酒家」の3階にある自宅で育ち、もともとは介護の仕事をしていたが両親に請われ店に入っている。「70すぎの父、60すぎの母、朝から晩まで頑張って、もちろん叔父もそうなんですけど、一番若い私がもうしんどいよ、辞めようよっていうのはちょっと……」とコロナ禍で複雑な心境を抱いているという。郁瑛は、中華弁当のデリバリーを始め、自ら自転車に乗り宅配をしたり、SNSを活用して仕入れの様子を発信するなど、店の生き残りのため必死の模索を続ける。