コラム
仁科友里「女のための有名人深読み週報」

華原朋美、「薬物乱用で事務所クビ」報道も……彼女は「芸能界を引退すべきではない」と思うワケ

2020/09/17 21:00
仁科友里(ライター)

 華原を語る上で欠かせないのが、音楽プロデューサー・小室哲哉氏との交際だろう。深夜番組で時折見かけるグラビアアイドルだった華原が、小室氏との出会いによって、日本を代表するアイドル歌手になった。不思議ちゃんなのか、それとも精神不安定なのか、華原は歌番組で質問されても答えず、うなり声をあげたりすることもあった。フツウなら、番組のプロデューサーや司会者などから怒られそうなものだが、背後に超ヒットメーカー・小室氏が控えているので特にそんなこともなく、「そういうところがかわいい」と、かえって評価されてもいた。

 しかし、小室氏の心変わりで二人の関係は終わる。失恋は誰にとってもつらいものだが、華原の場合、小室氏を失うということは、曲を書いてもらえなくなることを意味するだけに、ヒットチャートからの転落は免れないだろう。当然、仕事も収入も減るし、これまでチヤホヤしてくれた人が去っていくことも想像に難くない。華原は失恋で全てを失ったと言って過言ではないだろう。

 華原が安定剤に依存しているとか、メンタルの調子が悪いという報道はたくさんあったが、それは、ある意味当たり前のことで、もしフツウの女性が同じ経験をしたら、とっくに自ら命を絶っているか、生きていても再起不能に追い込まれたように思う。

 華原が不安定であることは間違いないものの、その一方で念願の芸能界に復帰し、ミュージカル『レ・ミゼラブル』の劇中曲「夢やぶれて」を歌って、世間から高い評価を得た。また、番組名は失念したが、芸能界復帰を目指していた頃、華原は「女の子を生んで、アイドルにしたい」と話していた。そして彼女は実際に、男児ではあるものの、40半ばで無事に出産を果たしている。さらに、「女性自身」(光文社)によると、所属事務所の社長に「痩せないと(ディナーショーの)ステージに立たせない」と言われたことから、1カ月に9キロを落とすダイエットに成功したなど、プロフェッショナルな一面を持っているのだ。

 極度に不安定でありながら、その一方で不運をはねかえし、やりたいこと、やるべきことを達成していく。弱そうでものすごく強い、もしくは“デキる”人なのが華原だと思う。その矛盾が華原の魅力で、だからこそ芸能界でしか生きられない人なのではないかと、私は思うのだ。

 また、華原は助けてくれる人にも事欠かないようだ。華原の家の部屋につけられたカメラの画像が動かぬ証拠となって、虐待騒動が表沙汰になったが、カメラ設置を勧めてくれたのは「大企業に勤めている次期社長だと言われている友達」だそうだ。小室氏は華原の恩人だろうが、小室氏がいなくても、華原は手を差し伸べてくれる人に事欠かない人生なのかもしれない。

 事務所を辞め、フリーとなった華原はYouTubeを始めた。「具合が悪そう」と心配する声もあるが、もともと不安定さが魅力な人だから、どんどん芸能界で突き進んでほしい。けれど、どんな理由であれ、交通事故が頻繁に起きているのは気になることではある。お子さんもいることだし、車の運転は控えつつ、芸能活動を頑張ってほしいと思わずにいられない。

仁科友里(ライター)

1974年生まれ、フリーライター。2006年、自身のOL体験を元にしたエッセイ『もさ子の女たるもの』(宙出版)でデビュー。現在は、芸能人にまつわるコラムを週刊誌などで執筆中。気になるタレントは小島慶子。著書に『間違いだらけの婚活にサヨナラ!』(主婦と生活社)、『確実にモテる 世界一シンプルなホメる技術』(アスペクト)。

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最終更新:2020/09/17 21:00
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