『噂の!東京マガジン』『笑点』のいま――オーバー60の“高齢者”番組、「無限の再放送」の打撃
各地で新型コロナウイルスの感染拡大がいまだ続く中、バラエティの中には、通常の収録スタイルに戻る番組も増えてきた。過去の再放送やリモート収録を行う時期を過ぎ、現在では出演者の間にアクリルパネルの設置や、ソーシャルディスタンスを守った上でのレギュラー放送が増加している。
だが、いまだにコロナの影響を多大に受けているであろう番組がある。それが『噂の!東京マガジン』(TBS系)だ。4月12日放送分から「特別版」をオンエアし始めてから、早4カ月。いまだ、再放送の映像でしのいでいるのだ。
「特別版の内容は、過去の再放送映像と新しく撮影された映像のミックス。新録分は、いずれもロケ企画で、各地の問題をリポートする『噂の現場』と、各週刊誌の見出しから一番を決める『週刊!見出し大賞』の1コーナー『今週のアングル』などのようです。『今週のアングル』は、週刊誌に取り上げられた場所や店を、実際にロケで訪れるスタイルになっています」(芸能ライター)
再放送を脱却できない理由には、司会の御年80歳の森本毅郎をはじめ、69歳の清水国明、65歳の山口良一、63歳の笑福亭笑瓶と、コロナによって重症化しやすいといわれる60歳以上の高齢者が、出演者の大部分を占めているからだろう。
「こうしたレギュラー陣の面々は、『噂の現場』か『今週のアングル』のロケでかろうじて姿を現しますが、森本に限って言えばこの4カ月、テレビカメラの前に姿を見せていません。もちろん、平日朝の帯ラジオ番組『森本毅郎 スタンバイ!』(TBSラジオ)にはリモート出演しているので、元気なことは確認できますが、いつになったら、全出演者が顔を合わせることができるのか。無限の再放送状態に、スタジオで和気あいあいと出演者が話す姿を待ち望んでいる視聴者もいることでしょう」(同)
そして、番組名物のアノ人気企画も“傑作選”という名の再放送が続いているようだ。
「料理を若い女性に作らせる名物コーナー『令和の常識・やって!TRY』が、過去の再放送になっているんです。例えば、過去に何度がTRYテーマとなった『エビチリ』なら、いろんな回のエビチリ映像をミックスして紹介。衝撃度順にベスト5を決めて放送しています。しかし、『ベスト5』というのは表向きの言い方で、実際には再放送の許可が降りないTRY娘がいることから、苦肉の策でこのような企画にしているのだと思います」(テレビ関係者)
高齢者番組といえば、もう一つ、国民に愛されるご長寿番組がある。オーバー70のレギュラー出演者が4人いる、『笑点』(日本テレビ系)だ。こちらも、いまだ本調子には戻っていない。
「『笑点』のコーナー『大喜利』には、73歳の三遊亭小遊三、74歳の三遊亭好楽、82歳の林家木久扇、そして70歳の三遊亭円楽と高齢者が居並んでいます。司会の春風亭昇太など、ほかの出演者がスタジオにそろっている中、高齢者の彼らはもっぱらリモート出演。『大喜利』といえば、メンバー同士の掛け合い、どつきあいが見ものだったのですが、その連携が崩れてしまいました」(前出・芸能ライター)
ちなみに8月16日放送は、2018年の『24時間テレビ 愛は地球を救う』(同)内でオンエアされた「チャリティー大喜利」の再放送、翌週23日は、『24時間テレビ』生放送内にあたり、V6・井ノ原快彦を始めとする5人のメインパーソナリティーと大喜利した映像が流れた。
「井ノ原たちとの大喜利も、もちろんオーバー70の面々はリモートでした。そして翌週30日は、先代の司会である桂歌丸が休演したときに木久扇がピンチヒッターを務めた回の再放送がオンエアされています。『笑点』は、リモート収録と再放送の2パターンでしのいでいるようですね」(同)
『東京マガジン』は放送開始31年、『笑点』に至っては54年。あり余る“蔵出し”映像があるので困ることはならないだろうが、出演陣のやりとりが評判の両番組だけに、スタジオで全員がそろった光景を待ち望む声も聞こえてくる。しかし、冬に来るといわれる第2波への不安も捨てきれないだけに、当面はこのスタイルもお茶の間は受け入れるしかないのかもしれない。
(村上春虎)