「たけし『天才だね!』」「マツコ驚愕」タレント名を使った“怪しい広告”、最前線事情に迫る
――悪質広告の排除には、各方面からの対策が必要なのですね。
笠井 はい。第一に、消費者の方に問題を知っていただくこと。今回のようにマスコミを通して、知識をつけていただくことはとても大切です。第二に、悪質な通販事業者を潰していくことです。これは今、警察、消費者庁など関係各所がどんどん動いています。そして、3つ目は、いまお話したように、広告を仲介する広告会社や大手サイトが違法なものを取り次がないようにすること。まずは、影響力の大きいFacebookやインスタグラム、Google、YouTubeなどの大手プラットフォームが悪質広告主を突っぱねるようにしていただければ、消費者トラブルも激減させることができるはずです。
――警察、消費者庁の動きで摘発された事例は、どんなケースがありますか?
笠井 最近の事例では、「医者が『何コレ…!?』と絶句するほど”脂肪肝”だった私が、お酒も食事も我慢せずにわずか1か月で正常値まで下げた『最強健康法』とは!?」といった広告を出していた「ステラ漢方」の事例があります。
7月に、ステラ漢方の広告担当者や担当広告代理店の社長ら計6名が大阪府警に薬機法違反で逮捕されました。ステラ漢方が販売するような「健康食品」が「医薬品」のように効能を説明することは、薬機法で禁じられています。
――関係者が行政処分された事例もあるんですね。
笠井 はい。ほかには、定期購入の契約をめぐり、今年8月に「麹まるごと贅沢青汁」の販売会社wonderに対して、消費者庁より6カ月間の業務停止命令、つまり「ビジネスをしてはいけない」という処分が下されています。消費者を誤認させるようなわかりにくい表記をしてはいけない、と定められている特商法に違反したケースです。
ほかにも、3月に株式会社ニコリオが販売するダイエットサプリメントにおいて、景表法に違反していると、今後同様の表示を行わないよう埼玉県が措置命令を出しています。景表法は「誇大広告を禁ずる法律」です。
――警察や消費者庁が着々と動いていることがわかりますね。
笠井 はい。さらに行政だけでなく適格消費者団体も対策に動いています。二コリオの措置命令処分においては、埼玉の「埼玉消費者被害をなくす会」による尽力もあったようです。こうした消費者センター、消費者団体など関係各所による消費者を守るための適切な処分も、不正広告の抑止力になり、日々地道な活動が続けられています。
我々アフィリエイト業界団体としても、消費者トラブルをなくすため『正しくアフィリエイトしよう!』という啓発・啓もう資料の無償公開や、「健康食品や化粧品の定期購入アフィリエイトの取り組み方指針」の公表等を行っておりますので、アフィリエイトやネット広告に関わる方にはぜひご覧いただければと思います。
――後編は9月22日公開