令和の時代、“女らしさ”は誰のため? 「VERY」の掲げる「ママこそリボン」「ママこそ女っぽい」に萎える
今号ではもう一つ、“子だくさんママ”にまつわる企画「11人ママカリスマ助産師HISAKOさんってどんな人?」が用意されていました。11児の母で助産院を営む46歳のHISAKOさん。目下12人目の子を妊娠中だそうです。テレビに登場する大家族の母親って、竹を割ったような性格の人が多い気がしますが(少なくとも表向きには)、HISAKOさんも、やっぱりサバサバ系の印象。読者が抱える“子育てのモヤモヤ”に快刀乱麻を断つように回答しています。
例えば、昨今の風潮「褒めて育てる」にモヤモヤするという相談には、「褒めたいなと思ったら思いっきり褒めてあげればいいし、褒めたくなかったらその感情を伝えたらいいと思います。(中略)褒めるにしても怒るにしても、努力しなければできないことをやっていると、それがぜ~んぶ子どもに伝わります」「お母さんは頑張らず自然体で、毎日子どもの健康と笑顔を願っているだけで十分です」とコメント。
トイレトレーニングには、「11人子どもを育ててきましたが、一度もトイレトレーニングをしたことがありません。どうやったかというと、待つだけ(笑)」。子ども3人を育てているが波長が合わず苦手な子がいるという相談には、「私も合わない子、いますよ」。昔は合わない子が苦手だったが、今は合わない子のほうが「断然面白い」、「子どもとママは違う人間。自分の価値観を押し付けず、その子の意外性や個性を楽しむくらいの気持ちで接したらどうかな~」。
なるほど、HISAKOさんの回答に「間違い」はないのですが、子育て中の身としては微妙に納得がいかないというか、それこそ“モヤモヤ”するんですよね。一言でいうと、泥臭さがない。子育てをしていると、「我が子にこう接したい」のに時間や心に余裕がなくて実践できなかったり、思わぬところで自分の本音やドロドロした感情を自覚させられたり、ジレンマやどうしようもなさを感じる場面が生じると思うのですが、HISAKOさんのポジティブな回答からは陰が感じられない。子育てで落ち込んでいる時には、読みたくないかも。
あまり役に立ちそうにない企画をクローズアップしましたが、一方で今号の「VERY」には、「コロナ禍の2学期、気をつけたい子どもの心」「お金に弱い女子が可愛いなんて誰が決めた?」など、実生活に役立ちそうな知識や情報を得られる企画もありました。分厚い雑誌だけあって、玉石混交です。