【『統合失調症にかかりました』さいこさんインタビュー】病気になって失ったもの、得たもの
休職中に自身の統合失調症の闘病経験をマンガにした投稿がインスタグラムで、話題沸騰。フォロワーだけでなく、さまざまな方面からの反響により書籍化することとなった、さいこさん著のコミックエッセイ『統合失調症にかかりました』(朝日新聞出版)。
同書では、発症から精神科受診、治療といった闘病経験に加え、旦那さんとの恋愛や結婚、仕事についてまで……。“ふつうの女の子”が、ある日突然統合失調症を発症し、“ふつうの幸せ”を手に入れるまでの様子を、本人の素直な感情のままに描かれている。
なぜ、自身のセンシティブな経験をここまで赤裸々に、世の中に発信しようと思ったのか――? 今回、著者であるさいこさんにマンガを執筆することになったいきさつや、闘病にまつわるエピソードなどを伺った。
――まず、率直にご自身にとってかなり大変な経験だったと思うのですが、なぜ闘病体験を漫画にしようと考えたのでしょうか?
さいこさん(以下、さいこ) 「コミックエッセイ」というジャンルを知って、自分の今までしてきた体験の中で、印象に残ってるエピソードなどを発信するというのが面白いと思ったのがきっかけです。(闘病は)自分の経験してきたことの中で、一番怖かったというか衝撃的な体験ばかりだったので、これを題材にしようと。それと、“統合失調症“という「聞いたことはあるけどよくわからない病気」を知ってもらえるきっかけになればいいなと思いました。
――おっしゃる通り、統合失調症は日本でも患者数約80万人といわれていて、100人に1人弱が発症する非常に身近な病気にもかかわらず、多くの人が病気に対する知識や理解が不足している現状があります。SNSで実際に漫画を投稿し始め、数千人単位でフォロワーが急増していったと思いますが、その時はどのような心境だったのでしょうか?
さいこ 単純に、自分の描いた漫画をたくさんの人が読んでくれていることがうれしかったです。
――反響としてはどのようなものがありましたか?
さいこ 同じような症状に悩んでいる方や、身近に同様の症状を抱えている方からの反応が大きかったです。「誰に相談しても信じてもらえない、自分だけがおかしいんじゃないかと思ってたけど、漫画を読んでそうじゃないと知れて救われた」とか、「コミュニケーションや思考回路が読めずに、こういう症状の人とどう付き合うべきか悩んでたけど参考になった」など、メッセージを本当にたくさんの方からいただきました。また、実際の現場(精神科など)に勤務している現役の医療従事者の方や、そういう職を目指している学生さんなどからもメッセージもありました。