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[コラム]K-POPタテ・ヨコ・ナナメ斬り

Stray Kids「GO生」だけじゃない、TWICEやBTSなどK-POPとDrum&Bass/Jungleの注目14曲!

2020/07/03 19:00
サイゾーウーマン編集部(@cyzowoman

 当時レイヴで主流だった他ジャンルに比べ、Jungleはより暗く、多幸感に乏しいスタイルが多く、イギリスの社会的な背景も影響しているとされています。90年代初頭のイギリスは社会構造が崩れかけており、幻滅した都市部の若者たちの感情がJungleに反映されていたといわれています。

 JungleはTechnoなどの当時レイヴで主流だったスタイルよりも、アメリカなどでのレイヴスタイルの影響を強く受けていましたが、特にアフリカ系イギリス人の若者層に人気がありました。Jungleのファン(Junglistと呼ばれる)は、若者のサブカルチャーの一部として認識されるようになり、Jungleはロンドンの下層階級の若者のための文化的表現の形、「Hiphopに対するイギリスの答え」ともいわれました。

 94~95年頃がJungleの人気のピークとされ、『Jungle Mania』や『Jungle Hits』というコンピレーションアルバムのCDがリリースされます。当時はラジオが新曲を聞くための主流なツールでしたが、ヨーロッパでは国営放送局にしか放送免許が認可されないことなどもあり、正式な放送免許を持たないラジオ放送(海賊放送)が横行します。このような海賊放送でJungleがたくさんプレイされていたのはもちろんですが、その人気も相まって95年には国営放送のBBC Radio1にて「One In The Jungle」というJungleを専門にした番組が週1で放送されます。こちらにアーカイブがあるので気になる方は是非聞いてみて下さい。

 ジャンルの性質上、コンピレーションアルバムやDJミックスがたくさん作られているので、さらにいろいろな楽曲を聞いてみたい方はこのようなミックスを探してみると良いでしょう。

 既存のジャンル(Raggamuffin sound, Dancehall, MC chants, Dub basslines)や複雑で重くエディットされたブレイクビートのドラムを取り入れ融合し、Jungleはさらに発展します。

Drum & Bassの注目曲

 一方でRaggamuffinの影響を受けたスタイルからは離れ、洗練され落ち着いたサウンドに重いドラムを乗せた楽曲も作られ始めます。

 これが後のDrum & Bass(ドラムンベースと発音)というジャンルにつながっていきます。93年にリリースされたThe Invisible Manの「The Beginning」という曲は、Jungle Drum & Bassジャンルの走りの楽曲の一つといわれており、さらに90年代中盤頃からは、より加工のされた、Amen Breakのソウルフルでジャジー(Jazzy)な面を反映した雰囲気を持ったものも出てきます。

■The Invisible Man – The Beginning (93)

■LTJ Bukem – Atlantis (93)

■Tom & Jerry – Airfreshner (94)

 Tom & Jerryの「Airfreshner」はBlowflyの「Sesame Street」をベースに、イントロはAlicia Keysの「Unbreakable」と同ネタの「Intimate Friends」(これはPaul Johnsonのカバー)が使われています。

■Goldie – Inner City Life (95)

 この年代は、Big beatの記事で書いたThe Prodigyの説明がちょうど同じぐらいの時期で、どちらも既存のレイヴシーンから影響を受け発展し、Big beatやDrum & Bassが作られていきます。

 Drum & Bassはたくさんのサブジャンルを内包する大きいジャンルのため、たくさん楽曲がありますが、私が好きなものをいくつか挙げたいと思います。

■Pendulum – Blood Sugar (07)

■High Contrast – Ghost Of Jungle Past (07)

■Nu:Tone – Jet Stream (07)

■4hero – Morning Child (L.A.O.S. D & B Mix) (07)

 95年を過ぎた頃から、Drum & BassはHardstep、Jump-up、Ragga、Intelligentなどがサブジャンルとして分裂し始めます。AtmosphericやJazzstepと呼ばれる、よりメロディックでJazzの影響を受けたサブジャンルが主流になり、96年にはTechnoの影響を受けたTechstepというサブジャンルも登場します。

 サブジャンルに関しては挙げたら切りがありませんが、Drum & Bassの主流なところではJump-up、Drumstep(Halftimeとも言う)、Drill ‘n’ Bass(Fungleとも言う)、ライトなDrum & BassにはIntelligentやAtmospheric、Jazzstep、Liquid funk、Sambassがカテゴライズされ、ヘビーなDrum & BassにはDarkstep、Techstep、Neurofunk、Hardstepがカテゴライズされます。

 正直私もこれらを聞き分けられる自信はないですし、聞いてもあまり違いがわからないかもしれません……。
【Jump-up】
DJ Hazard – Bricks Don’t Roll

【Drumstep】
Tristam & Braken – Flight

【Drill ‘n’ Bass】
Squarepusher – 6

【Intelligent】
LTJ Bukem – Atmospherical Jubilancy

【Jazzstep】
Utah Jazz – Take No More

【Techstep】
Bad Company UK – Four Days

【Hardstep】
Zomboy – Mind Control

 このようなジャンルの細分化と並行して、 別のジャンルとの融合を図ったAsian Dub Foundationのようなバンドも出てきます。Dub、 Bangla Beats、Raggae、JungleやDrum & Bass、さらにはPunk Rockをミクスチャーした作品を中心にリリースし、 99年にリリースされたアルバムが全英チャート20位を記録します。

■Asian Dub Foundation – Real Great Britain

 ここまでBPMの話をしていませんでした。90年初頭のHardcore Jungleの時期はBPM120程度から始まり、Jungle初期は140前後、Jungle最盛期は160とどんどんBPMが上がっていきます。Drum & BassではBPM170~180が一般的です。JungleとDrum & Bassの違いについては、さまざまな切り口からの議論があり、「Jungle Drum & Bass」と呼ばれることもあるためはっきりと違いを定義するのは難しいですが、個人的にJungleはReggaeの影響を受けたサウンドと密接に関係しており、Drum & Bassはその要素のないものとざっくり考えています。

 ちなみにStray Kidsの「GO生」はBPM154なのでBPMで当てはめるとするならばJungle中期辺りに該当するでしょうか。楽曲自体はダークな上ネタがあったり、チチチチとTrapのようなハイハットがあったり、Dubstepのようにビートを半分で取るようなところもあり、Jungleがベースなのは間違いないですが、そこにさまざまなジャンルが合わさった楽曲になっています。

 Stray Kidsが結成される前、メンバーの3人(バンチャン、 チャンビン、ハン)がやっている3RACHAというユニットで2017年にリリースした楽曲に「P.A.C.E」という楽曲がありますが、これはGrimeというジャンルのものです。Drum & Bassの流行よりもっと先の話ですが、Jungleのビートにラップを乗せたところが始まりと言われているジャンルで、ロンドンで02年頃から流行し始め、09年頃にスタイルが確立します。2step記事で紹介した2stepやUK GarageをベースにHiphop、Raggae、 JungleやDrum & Bassなどの要素が混ざりあってできたジャンルです。P.A.C.Eの歌詞にはGrimeを代表するラッパーSkeptaの名前が 出てきて、このジャンルを知っている人にはおお! となる要素が盛り込まれています。

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