カルチャー
【連載】ヘタの研究

HIKAKINはなぜレジェンドなのか? YouTube動画の「ウマい」「ヘタ」の違いをプロに聞く!

2020/06/29 21:00
石徹白未亜(ライター)
HIKAKINのYouTubeチャンネル「HikakinTV」より

「物事が“ヘタ”なとき、そこにはパターンや規則があるのではないか? そのパターンを知ればウマくなる手助けになるのではないか?」

 この仮説のもと、当連載「ヘタの研究」ではさまざまな物事の「ウマい、ヘタとは何なのか?」をその道の専門家に伺っている。

 今回のテーマは「YouTube」。「〇〇してみた」などの企画を軸に展開するYouTuberのほか、ブログのように普段の日常の様子を動画で発信するVloger(ブイロガー)など、今や動画を見るだけでなく配信する人も増えてきている。その中には、YouTubeが定める一定の条件をクリアし、収益化を達成する動画もある一方で、再生回数が非常に寂しい動画も散見される。多くに見てもらえる動画とそうでない動画は何が違うのか?『フツーの人がYouTube登録者数1万人を突破する秘訣 ~ビジネスYouTuberの始め方~』(ぱる出版)著者、いとうめぐみ氏に聞いた。

『フツーの人がYouTube登録者数1万人を突破する秘訣 ~ビジネスYouTuberの始め方~』(ぱる出版)

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YouTuber界のレジェンドは何が違うのか?

――ウマいYouTuberとヘタなYouTuberの違いはなんでしょうか?

いとうめぐみ氏(以下、いとう) ウマいYouTuberは、無意識であっても意識的であっても相手(見る側)が求めていることを発信している人で、ヘタなYouTuberはただ自分のやりたいようにやっているだけな人、という違いがあると思いますね。人気ある人というのは相手が欲しい情報をきちんと提示しています。

――好き勝手遊んでいるだけに見える動画もあったりしますが……?

いとう そういった方も、自分がという前に、視聴者が潜在的に「やってみたい」と思っていることをきちんとかなえているんです。例えば、自分では出せないような金額で高価な物を買ったりだとか。そう思うと、ウマいYouTuberは「視聴者を喜ばせることが上手」とも言えます。

 一方、ヘタなYouTuberは相手に対する配慮が十分ではないんです。どうでもいい編集をしていたり、どうでもいい話をして視聴者を退屈にさせてしまったり。

 もちろん特殊な職業をされている方や、すでに人気のある芸能人の方であれば、自分の好きなようにやっていてもアクセスが集まるケースもありますが、ただ単に「自分の好きなようにやる」だけでは、多くの人に支持されることは難しいかなと思います。

――いとうさんから見てウマいな、と思うYouTuberは誰ですか?

いとう 断然、HIKAKINさんです。相手が飽きないように身振り手振りを交えながら話を展開しますし、編集も面白い。なのに凄い謙虚。そして視聴者との関係性をすごく大事にしているのが、人気の秘訣だと思います。

 HIKAKINさんのウマさの一例として、彼は「待てる」んです。見ている人に問いかけたあと、間を置くことができる。視聴者はHIKAKINさんの問いかけに対し、画面の向こうで答える時間を持てるため、まるで会話しているような感覚を味わうことができ、彼を身近に感じられます。これは視聴者を大切にしているからこそできる行動です。簡単そうに見えて難しく、たいていの方が一人で撮影していると、早口で、たたみかけるようにしゃべってしまうんです。

――私も動画の仕事をした際に、「待つ」難しさを痛感しました。撮影中に、カメラに向かって待っているのがどうも気恥ずかしくて、ついしゃべってしまうんですよ。でもそれは配信している側の都合であり、視聴者側に立った態度ではありませんね。

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