有名私立高校の女子生徒4人組が集団万引き! 「警察に引き渡したほうがマシ」保安員が胸を痛めた“親の土下座”
「あなたたち、ちょっとお待ちなさい。お金払わないといけないものあるでしょう」
気配を消して彼女たちの背後に近づいた敬子さんが、ブツが入ったバッグの持ち手を素早く掴んで彼女たちを呼び止めると、仁王立ちする敬子さんの迫力に言葉を失ったらしい4人は、ただ呆然と顔を見合わせています。
「大丈夫だから、みんなでごめんなさいしにいこう」
「はい、ごめんなさい……」
素直に犯行を認めた4人を連れて総合事務所に向かい、盗んだ商品を出させて、身分を確認したところ、4人は有名私立高校に通う同級生で、ディスコを借りてパーティーをするようなチームの仲間ということでした。被害は、いわゆるボディコン系のワンピースやブラウス、スカート、ベルトなど、すべて各4点ずつ。被害合計は、およそ20万円になりました。どうやら全てお揃いにするのがチームの決まりのようで、ボストンバッグから出された財布や手帳も、どれも同じものだったことを覚えています。
「いままでのこともあるし、被害も高額だから、家と学校の両方に通報します」
「え? 学校は勘弁してください。退学になっちゃう!」
一報を聞いて駆けつけた管理部長さんが通報を始めると、ようやくに事態の大きさに気付いたらしい彼女たちは、下を向いて嗚咽を漏らし始めました。その後、いち早く駆けつけた先生方が彼女たちの荷物を検査すると、いわゆるパーティー券が数十枚とタバコ、それにコンドームまで出てきてしまいます。一見して生活指導担当とわかる元力士のような先生が、ドスの利いた声で彼女たちに言いました。
「お前ら、どうしようもないな。これは助けられないかもしれんぞ」
あまり感じたことがないほどの重い雰囲気が漂う中、彼女たちの保護者方が続々と迎えに来られて、総合事務所内の空気は、さらに沈下していきます。なかには先生に土下座をしながら寛大な処分を求める方もいらして、見るに堪えない気持ちがしました。これならば、警察に引き渡されたほうが、まだマシなように思えます。
「澄江ちゃん、ちょっとつらかったのかな? 気持ちはわかるけど、あまり入れ込んだらダメよ。今日を最後にしてくれたら、それでいいんだから。それにしても、子育ては大変よね……」
私が子どもを作らなかったのは、この一件を見て、きちんと育てる自信が持てなかったからかもしれません。
(文=澄江、監修=伊東ゆう)