コラム
オンナ万引きGメン日誌

有名私立高校の女子生徒4人組が集団万引き! 「警察に引き渡したほうがマシ」保安員が胸を痛めた“親の土下座”

2020/06/13 16:00
澄江(保安員)
Photo by MIKI Yoshihito from Flickr

 こんにちは、保安員の澄江です。

 ようやくに東京の自粛要請が緩和され、私たちの現場である商店にも、随分と活気が戻ってきました。その分、感染リスクが高まっているようにも思えますが、仕事をしなければ食べていけないので、恐れてばかりもいられません。それなりの予防対策をして立ち向かうほかないのです。

 新型コロナウイルスの影響を言えば、現場における不審者の見極めが、以前より難しくなりました。マスクのほかに、帽子やサングラスを着用されている方も多く、周囲の人を避けるような不規則な動きで買い回るお客さんに惑わされることもあって、どうしても巡回効率が下がってしまうのです。その一方、失業や生活苦から止む無く万引き行為に手を染めてしまうケースは相変わらず頻発していて、以前は見かけることの少なかった20〜50代の方々に声をかける機会が増えています。つい先日は、品薄状態が解消されたトイレットペーパー(4芯入り)を店頭から持ち去った50代の飲食店店主を捕捉。どことなく梅沢富美男さんに似ている大柄な男で、一見したところ粗暴な感じに見えて少し怖かったのですが、声をかけると同時に強面を歪めて、いまにも泣き出しそうな顔で同行に応じてくれました。

 被害代金は、458円(税込)。

 話を聞けば、店舗の営業を再開してもお客さんの入りが悪く、少しでも節約したくて盗んでしまったとのこと。事情を聞いた店長さんが、事業継続の持続化給付金を申請するよう物知り顔で進言されていましたが、確定申告などしていないのでもらえないのだと肩を落としていました。自業自得のこととは言え、どこか不憫に思えます。

「事情はわかりますけど、一つでも盗ったら、立派な犯罪なんですよ」

 へたをしたら自分の子どもより年下であろう10代後半と思しき新人警察官に説教され、肩を丸めて小さくなっている男の姿は、とても痛々しいものでした。犯歴照会の結果、男に前科はなく、その場でトイレットペーパーの代金を支払い、奥さんに身柄を引き受けさせることで事態は終結。最近は、初犯の扱いが多く、警察に通報しても微罪処分で済まされることばかりで、堂々と座って休める取調室に入る機会が減って困っています。なかなか座らせてもらえず、疲労の抜けない日々を過ごしていますが、それも取調室の密を避けるためだと勝手に解釈している次第です。

 思えば、昭和の後半から平成初期の頃までの警送処理においても、取調室まで入れるケースは稀でした。思い返せば年に数回しかなく、いまとは違い、警察署に行くたび新鮮な気持ちで事情聴取を受けていたことを思い出します。万引きで警察を呼ぶこと自体が珍しい時代だったので、それも当然のことと言えるでしょう。だからこそ、取調室にまで行くような事案は深刻で、そのほとんどが深く記憶に刻まれています。今回は、1980年代後半に捕らえた、思い出深き不良少女グループについて、お話ししていきたいと思います。

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