暮らし
[連載]白央篤司の「食本書評」
“私の料理”の幸せに包まれる! 『しょうゆさしの食いしん本スペシャル』食べる楽しみと喜びがあふれるレシピ
2020/06/06 14:00
何より好きだったのが、中国の極太春雨「大拉皮(ダイラーピー)」を使った甘辛煮込み(24ページ)。これはね、ぜひやってみてほしい。豚肉とニラが入ってて、食べごたえも味も抜群。うちのツレがすぐさま「また作って」と言ったほど。私の料理ではなかなか言ってくれないのだけれど(笑)。
後半の「ああ旅情」編、「京都で食べて、飲んで」編(スケラッコさんは京都在住)では、コロナで抑えられている旅欲がもう刺激されてならなかった。この本を片手に広島や徳島でお好み焼きを食べ歩きたい。京都をふらつきたい。
最後に説明するのもなんだが、この本では主人公が「しょうゆさし」という名前で、醤油さしの形をしたキャラクターとして描かれる。なんで醤油さしなのかはわからないけれど、醤油さしがうまさにビックリしたり、しみじみしたり、「ご満悦……!」といった風情でウットリする様がなんとも、いいんだ。表情豊かで、ほのぼのとして。
寝る前に読むと心があったかくなって、よく眠れる。そんな本です。
最終更新:2020/06/06 14:00