ハッカー集団「アノニマス」復活! トランプ大統領とエプスタインによる「未成年者の人身売買」を訴える
5月25日にミネソタ州ミネアポリスの路上で、白人警察官の膝で首を押さえつけられ死亡したアフリカ系アメリカ人男性ジョージ・フロイド。彼は繰り返し「息ができない」と訴えていたのに、警官は不要に拘束したものとみられ、全米各地で抗議活動が発生。デモが暴動へと発展し、放火や警官への暴行、店舗での略奪行為など、まるで内戦のような状態に陥っている。
この事件を機に、3年ぶりに復活したハッカー集団アノニマスが、「未成年者の人身売買の罪で起訴され、拘置されていたニューヨーク・メトロポリタン矯正センターの独房で昨年8月に謎の死を遂げたジェフリー・エプスタインは、トランプ大統領が殺した」とツイート。多くの著名人を人身売買の顧客に持っていたとされるジェフリーの手帳へのリンクを貼り、ネット上を騒然とさせている。
事の発端は、31日にトランプ大統領が投稿したツイート。ホワイトハウスで警官と小競り合いを起こしたデモ隊は、ジョージの死を悼む者ではなく、「ANTIFA(反ファシズム)と極左だ」と批判したのだった。ミネソタ州知事やミネアポリス市長は、放火・略奪・暴力行為を行っているのは「騒ぎを大きくするために州外からやってきた人たち」と明かしているが、大統領もホワイトハウスで暴力騒ぎを起こしたのは、ANTIFAの仕業だと強く非難した。
このツイートを、アノニマスが、「おまえは自分の児童買春と強姦の過去をもみ消すためにエプスタインを殺した」とリツイート。ジェフリーの手帳につながるリンクを貼った。
続けて、「警察は抗議活動を行っているデモ隊を撃つのではなく、本当の犯罪者を逮捕すべき」「我々は米国当局やインターポール(国際刑事警察機構)に対して、トランプがエプスタインの児童売買ネットワークに関与していること、ヨーロッパ全土の安全とファイブ・アイズ(UKUSA協定)を侵害していることについて捜査を開始するよう促す」とツイートし、大統領はとんでもない犯罪者なのだと訴えた。
アノニマスが誘導したリンク先は、デジタルライブラリ「Scribd」に掲載されている「ジェフリー・エプスタインの“小さな”黒革の手帳」につながっており、手帳には、トランプ大統領だけでなく娘イヴァンカ、モデルのナオミ・キャンベル、英国アンドリュー王子、歌手フィル・コリンズ、トニー・ブレア元イギリス首相、テッド、ボビー、エドワードらケネディ一族、ヘンリー・キッシンジャー元国家安全保障問題担当大統領補佐官、俳優ウィル・スミスやミュージシャンのミック・ジャガーら、有名人の名前がずらり。Twitterでは、「ナオミとエプスタインは、児童売買でつながっていた?」と大きく取り上げられ、2人の名もトレンド入りした。
一方、大型電子掲示板「reddit」では、手帳にあまりにも大量の名前が掲載されているため、全員がエプスタインの児童売買の顧客であったとは考えにくく、昨年8月に公開された、エプスタイン所有のプライベートジェットの搭乗記録にも、トランプ大統領、ナオミ、ビル・ゲイツ、ビル・クリントン元大統領、アンドレス・パストラーナ・アランゴ元コロンビア大統領、アラン・ダーショウィッツ弁護士ら超大物の名前が載っており、エプスタインと彼らにつながりがあったことはすでに知られていたため、「トランプがエプスタインを殺害した証拠なんてどこにもないけど」「アノニマスは一体なにを伝えたいの?」と戸惑う人も。
その後、アノニマスは「Scribd」に掲載されている、「2016年にカリフォルニア州在住の女性が、13歳だった1994年に、エプスタインの邸宅で、彼とドナルドから性的暴行を受けたと連邦裁判所に告訴した案件」の書類へのリンクも紹介し、「トランプとエプスタインが組織的児童売買に関わっていた!」「13歳の少女を強姦したとして訴えられていた!」とTwitter上は騒然。
この告訴書類はすでに公開されているものであり、「なんでいまさら……」という空気がネット上に漂ったが、「これに関するツイートは次々削除されてるんだって。いまこそ拡散を!」という声が噴出。ちなみに、連邦裁判所により棄却されており、トランプ大統領の弁護士は訴えを全面否定している。しかし、ネット上では、この一件を知らない者も多いことからバッシングが巻き起こり、「トランプはエプスタインと児童売買に関わっていた」「逮捕されたエプスタインの口を封じるために、首吊り自殺しているように見せかけて殺したに違いない」と大炎上している。
Twitterでは、「トランプとエプスタイン、(エプスタインの恋人で児童売買の片腕だったとみられている)ギレーヌ・マクスウェルは、イスラエルの情報機関モサド(諜報特務庁)に仕えていた」と「#riots2020(2020年暴動)」のハッシュタグをつけてツイートする者も。これに対してアノニマスは、「米英の政治家を脅迫するネタを集め、売っていたエプスタインは、MEGAグループに支援されていた。(MEGAとは)旧ソ連やイスラエルとつながっている裕福な投資家やマフィアたちのことだ」とツイートしている。
あまりにも壮大な話に展開したため、「フロイドの死に便乗してトランプを叩きたいだけじゃないか」「ブラック・ライヴズ・マター(黒人差別を批判するスローガン)とエプスタインは無関係」と不審がる人も。これに対して、アノニマスは「権力を持つ者たちは、処罰されないという特別扱いを受けている」「不処罰だから、黒人は殺され続け、子どもたちが性売買され続けているのだ。我々はこれを止めなければならない」と説明している。
トランプ大統領だが、現地時間31日、Twitterで「ANTIFAをテロ組織に指定した」と発表。ネット上では「何がなんだか……」「ついていけない」と混乱する声も続出しているが、これらの騒動はどこに向かっていくのか。今後の展開を見守っていきたい。