SNSでの脅迫・なりすまし行為、あのアイドル声優たちも被害に――関係者は“使い方”に警鐘
テレビアニメ『進撃の巨人』(TBS系、NHK総合)のミカサ役、『けものフレンズ2』(テレビ東京ほか)キュルル役などで知られる声優・石川由依の所属事務所・mitt managementは、先日「石川本人や家族、事務所に対して『危害を加える』などと脅迫する投稿が続いている」ことから、警察に被害届を提出したと公式Twitterで発表した。
所属事務所は「2020年4月より、弊社所属の石川由依本人や家族、事務所に危害を加えるといった悪質な投稿が続いていることから、警察に被害届を提出しております」と説明。続けて「現在、弊社顧問弁護士、並びに警察と密に連絡を取り合い、捜査の状況を見守っているところでございます」としている。この発表を受け、ネット上のファンからは、「許せない」「怖すぎる……」「1日も早く犯人が捕まりますように」など、石川やその家族、事務所関係者などの安全を願う声が寄せられている。
声優がストーカーや脅迫被害に遭う事件は、近年増加傾向にある。特に女性声優は被害に遭いやすく、2017年には水樹奈々のTwitterに「ぶっ殺す」などと投稿したファンの男が逮捕された。また、竹達彩奈も約4年間にわたって7,000通以上の「死ね」などの脅迫メールを所属事務所や関係先に送られる被害に遭っており、18年に熱心なファンであった無職男性が逮捕されている。
もちろん男性声優も例外ではなく、10年にはベテラン声優・神奈延年の元交際相手でもあるファンが、神奈のブログに不正アクセスし、約100回にわたって意味不明なことを書き込んで逮捕された。また、歌手としても活躍している蒼井翔太は17年、出演番組の帰りに、「つけられてる……怖い……」とマネージャーへのLINEと間違えてTwitterに誤投稿し、ファンから心配の声が殺到。一時騒然となる事態となった。
このように、声優が熱心なファンによる脅迫・ストーカー被害に遭いやすくなった一因として「SNSの普及」が挙げられると、関係者は警鐘を鳴らす。
「特に若手声優たちは、毎日頻繁にSNSで近況を報告しています。ひと昔前でしたら脅迫やストーカー行為をするにも手紙を書いて郵送するなど、それなりに労力が要りましたが、今ではネットで手軽にできてしまいますからね。仕事関係の発表はもちろん、プライベートな発言も多いことから、ファンとしてはタレントをより身近に感じてしまうのでしょう。SNSを多用することにより、声優サイドとしては手堅くファンをつかむローコストなツールですが、ファンを暴走させないためには『炎上させない』『身バレしない』『ファンとの距離を保つ』など、SNSは慎重に扱うことが大切だと思います」(声優業界関係者)
実際、事務所側はSNS利用に関するルールなどは設けているのだろうか?
「声優自身が発信しているSNSに関しては、各声優が自由に発信しており基本的に事務所はノータッチです。Twitterの場合は『DMのやりとりはできません』としている声優が多いですが、それでも送ってくるファンは大勢います。熱心なファンがつきやすい若手声優の場合は、事務所サイドもDMのチェックをしていますよ。ファンレターを事前にチェックするのと同じ感覚でしょう」(同)
ファンにとっては憧れの声優がより身近に感じられるようになった反面、声優にとっては改めてSNSとの付き合い方を再考する時期にあるといえるだろう。