芸能人たちの「検察庁法改正案反対」であらわになった、女性差別と職業差別
下世話、醜聞、スキャンダル――。長く女性の“欲望”に応えてきた女性週刊誌を、伝説のスキャンダル雑誌「噂の真相」の元デスク神林広恵が、ぶった斬る!
友人でもある作家の室井佑月が再婚した。前新潟県知事の米山隆一さんと。共通の知り合いから結構な数の電話があった。みんな爆笑していた。コロナの中、久々の楽しい(おもろい!?)話題だった。めでたい。
第507回(5/14〜5/19発売号より)
1位「ヤバすぎる検察官の定年延長法案に芸能人が続々抗議するワケ」(「週刊女性」6月2日号)
同「西田敏行 『検察庁法の改正案に絶対反対です』」(「女性自身」6月2日号)
2位「石田純一 緊迫の病室から送っていた『7歳長男への遺言』『理汰郎へ、人生はお金じゃない』(「女性自身」6月2日号)
3位「赤川次郎 連載第26回 三毛猫ホームズが開く明日への窓 コロナ禍で監視すべきは自粛ではなく政権の横暴」(「女性自身」6月2日号)
※「女性セブン」は合併号休み
多くの芸能人たちが批判の声を上げた検察庁法改正案だが、昨日18日、安倍政権は今国会での成立を断念した。芸能人たち、そして多くの国民のまっとうな意見と勇気が功を奏したものだが、「週刊女性」と「女性自身」もまた、この問題を取り上げている。
成立断念が決まった前の記事とはなるが、「週女」は法案の問題点を詳細に指摘、ジャーナリストの青木理氏や弁護士の武井由起子氏などが、いかに今回の法案がまともではないのか解説、さらにこの法改正は安倍政権で巻き起こった数々の問題の集大成だと看破している。
中でも注目すべきは作家の北原みのり氏のコメントだ。今回、声を上げた芸能人に対して賛同だけではなく中傷もまた巻き起こったが、中傷されたのは主に若い女性タレントだとしてこう話している。
「声を上げた中でも若い女性にバッシングが集中するのはもともとある性差別がコロナを通して浮き彫りになっているから。女性の言葉を軽く見て、話す内容ではなく声のトーンや知識の量を笑う。きゃりーぱみゅぱみゅさんがツイートを削除したと聞いて、追い詰められたんだと思いました。謝らなくていいよというバッシングを跳ね飛ばす強い声を作っていかなければ」
その通りだと思う。実際、きゃりーぱみゅぱみゅら、声を上げた芸能人たちへ、多くの賛同とともに安倍応援団などからの誹謗中傷も巻き起こっていた。しかも、その内容は「歌手やってて、知らないかも知れないけど」「知らないくせに言うな」「政治的発言をするなんてガッカリ」という人を見下したもの。そして、そのバッシングはすさまじく、当初きゃりーぱみゅぱみゅは、〈歌手やってて知らないかもしれないけどって相当失礼ですよ、、、、〉とそれに屈しない姿勢をみせたものの、結局はツイートを削除するまで追い込まれたのだ。
ほかにも女性を見下したようなバッシングに小泉今日子、裕木奈江、水原希子、東ちづるといった多くの女性芸能人が晒された。それでも今回、多くの女性芸能人たちはこれに屈せず声を上げ続け、そして政権に法案を断念させた。
だが、これはあくまで“断念”ではなく“先送り”らしい。今後の政権の動きとともに、芸能人たちが声を上げ続けてくれることを応援したい。
そんな検察改正法案だが、「自身」では西田敏行の「改正案はおかしい!」「腹立ちますね、本当に!」との声を掲載した。だが、西田のコメントはそれだけではなかった。西田は日本俳優連合の理事長をつとめており、3月5日に内閣府と厚生労働省に収入が激減した俳優たちへの支援を求める要望書を提出したという。しかし、その反応はというと――。
「政府に要求したけど、歯牙にもかけない感じだしね……。残念ながら、われわれ表現者はあまり優遇されていないので」(西田)
やはり芸能人、そして国民は声を上げていかねば!