コラム
ほかのアパレルは大打撃

「第2のユニクロ」ワークマンの落とし穴……「コロナ禍でも好調」とはやし立てるのは危険なワケ

2020/05/31 16:00
南充浩

 ワークマンの商品が「低価格高機能」というのはれっきとした事実ですし、消費者がそれを支持しているのも確かでしょう。しかし、「ほとんどの店舗がフランチャイズ店」というワークマンの運営システムを考えると、「ワークマン=好調」と簡単に判断してはいけないようにも感じます。

 通常の洋服店とは異なるワークマン独自の販売システムとして「2~3年同じ商品を売り続ける」という部分がよくクローズアップされますが、それは、「一度買ったら、すぐには買い換えない」「追加購入も同じ商品」というワーキングユニフォームの消費傾向を踏まえ、ワークマンもそれに合わせて「商品サイクルを長くしている」とともに、実は「フランチャイズ店ならでは」の事情も絡んでいるのです。

 直営店であれば、商品が売れ残っても、シーズンごとに引き上げて、本社が入れ替えれば済みますが、フランチャイズ店の場合、コンビニ同様、店が独自に商品を仕入れたことになりますから、本社の一存でシーズンごとに総入れ替えするというわけにはいきませんし、それをやると、逆に本社は返品を食らい、損失を被ります。ですから、ある程度、長期間かけてフランチャイズ店の店頭で商品を消化させたほうが経営的には良いということになるのです。

 そんな背景がありつつも、ワークマンの決算資料には、フランチャイズ店の店頭消化の進捗は出ていません。おそらく、年間を通じて、どこかの時点でその数字を加味して調整されるのでしょうが、月次速報を鵜呑みにして「好調」とはやし立てるのは、やはり世間にミスリードさせてしまう危険性が高いと言えます。
(南充浩)

最終更新:2020/06/03 20:10
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