「第2のユニクロ」ワークマンの落とし穴……「コロナ禍でも好調」とはやし立てるのは危険なワケ
ワークマンが、コロナ禍で増収したもう一つの理由は、実店舗のほとんどが直営店ではなく、フランチャイズ店という独自のシステムに隠されています。ワークマンは、2020年3月期時点で、868店舗中、実に96.1%がフランチャイズ店で、前期比で8.5%増となっています。要するにほぼ全店がフランチャイズ店です。
ワークマンはその高機能性と低価格によって「第2のユニクロ」と呼ばれることがありますが、ほとんどが直営店であるユニクロとは運営システムがまったく違い、コンビニや携帯電話ショップと同様のシステムを採用しているのです。
ワークマンの運営システムの場合、同社の売上高は、フランチャイズ店に納品した時点で成立します。もっとわかりやすく言うと、月次売上高速報には、売上高について「加盟店からの収入の対象となる加盟店売上高」及び「直営店売上高」の合計値に基づき算出しているとあり、フランチャイズ店店頭の売上高が、この速報に完璧に反映されているか定かではないのです。おわかりでしょうか? ユニクロをはじめ、アダストリア、ユナイテッドアローズ、しまむらなどもそうなのですが、直営店が主体の企業の月次売上高速報は、店頭での売れ行きを反映している一方、ワークマンの月次速報を見ても、実際に4月のフランチャイズ各店の売上高がどうだったかというのは不明瞭というわけです。
近隣の店頭を見て回った感覚でいうと、すごく売れているわけでもないし、すごく売れていないわけでもないというふうに感じました。ただ、4月の非常事態宣言以降、工事現場もある程度は作業を中断していたため、3月までに比べると作業員の需要は低下したのではないかと思われます。また飲食店や居酒屋も休業していた店が多いので、そういう厨房需要も、4月・5月は減ったのではないかと考えられるのです。