嫌われもの・クロちゃんは一流の男!? 『上手に嫌われる技術』『成功する男はみな、非情である。』の著者が実力を評価
『水曜日のダウンタウン』(TBS系)の企画「モンスターハウス」「モンスターアイドル」をきっかけに、爆発的に嫌われ者となった安田大サーカスのクロちゃん。テレビに姿を現せば、SNS上には「クズだな」「マジでキモイ」「嫌いすぎてチェンネル変えた」などのコメントが噴出する事態となっている。さらには、芸能界からも拒絶反応が起こっているようだ。クロちゃんと多数の共演経験のあるみちょぱ(池田美優)は、そのたびにクロちゃんから好意を告げられ、「きもい」「怖い」「気持ち悪い」と直接的に拒絶。また嵐・二宮和也は、クロちゃん本人を目の前にして「嫌いですね」と断言している。まさにクロちゃんはいま、世間からも芸能界からも、最も嫌われているタレントではないだろうか。
そんなクロちゃんについて、『上手に嫌われる技術』(CLAP)『新版 成功する男はみな、非情である。』(光文社)などの著書を持つ柘いつか氏は、意外にも「成功者」と評価する。嫌われ者・クロちゃんの「嫌われる技術」は一流か否か? 分析してもらった。
――テレビでのクロちゃんを見て、どのような印象を持ちましたか?
柘いつか氏(以下、いつか) クロちゃんは突拍子もないことを、短時間の中で何回も“ひどいやり方”でやりますよね。それはいずれも、「できない」「だらしない」「やめられない」の3つの要素です。『名医のTHE太鼓判!』(TBS系)で見ましたが、医師に厳しく食事制限を課せられても、できない。嘘がバレると言い訳、逆ギレですよね。なかなかの嫌われ力です。
――『上手に嫌われる技術』では、デキる男・モテる男は「嫌われ力」があると説いていますが、クロちゃんの「嫌われ力」はいかがでしょう?
いつか クロちゃんは一言多いのが気になります。女性に対して、自分の気持ちや言い訳をいちいち説明するのはいただけません。それに、女性への決めゼリフが「何かあったら俺が守るから」なんて一昔前ですよ。女はそんなネガティブな事態が前提にある言葉を聞きたいのではないですし、「守るから」と言ってはいますが、何かあったら真っ先に逃げると思います。自信過剰でナルシストではないでしょうか。
クロちゃんはモテる男とはいえないですが、まだ評価されてないだけかもしれません。一方で、デキる男かといえば、嫌われることで仕事がうまく回っているので、「デキる男」と言えますね。ただ、このままずっと同じキャラでやっていくなら、飽きられちゃうでしょう。
――クロちゃんの「嫌われ力」は、100点満点中、何点ですか?
いつか 80点はいってるんじゃないでしょうか?
――いつかさんは『成功する男はみな、非情である。』という本を書かれていますが、クロちゃんに「成功する男」の素質はありますか?
いつか 芸人としてはすでに成功していますよ。ただ、スケールが小さく、小粒です。最近の芸人は海外進出したり、映画を作ったり、他ジャンルに展開するケースもありますが、クロちゃんは「壁」にチャレンジしそうにないですよね。壁から逃げて、次のステージにいかない人。
――なぜクロちゃんは、嫌われながらも仕事が途切れないのでしょうか?
いつか 人の「嫌なところ」がいっぱい出てくるからでしょうか。誰にでもある身勝手さ、でも誰もやれない身勝手さ。子どもが見ても「なんだ? この人」とダメな部分がわかります。だから見てるこちら側が、「やだーっ!」という思いで共感できるのでしょう。
――最後に、私たちがクロちゃんから学べることはありますか?
いつか みんなが言えないことを言ったりするので、発言に“あるある感”があるところはいいですね。けれど、これが過ぎると「エゴマゾ」になって嫌われます。おしゃべりな男、っていうだけでマイナスなのに、クロちゃんの場合は言ってることが二転三転し、主張が一貫しないから嫌われるのです。言わされてる感は見え隠れするものの、それも込みでテレビだと面白いけど、実際これをされると疲れるでしょう。クロちゃんは「I love me very much!」……自己愛が強過ぎるのです。反面教師として見れば、学べるところはたくさんあると思います。
柘(つげ) いつか
2003年に『別れたほうがイイ男 手放してはいけないイイ男』で作家デビュー。『成功する男はみな、非情である。』と共にベストセラーとなり、アジア各国で翻訳された。恋愛・結婚についての辛口エッセーや、ビジネスマンの成功と孤独に焦点をあてたビジネス書など、電子書籍やオーディオブックを加え、50冊を超える(「角川いつか」として上梓した著書多数)。世界50カ国以上を駆け巡り、各国、各界に多彩な人脈を持つ。
・いつかオフィシャルサイト