ジャニー氏の“少年愛”暴露本『光GENJIへ』の衝撃! 大ベストセラー続編のお粗末な問題点
コロナ禍で自宅で過ごす時間が増えたジャニーズファンに向けて、いま改めて読み直したいジャニーズ本をご紹介。知られざるジャニー喜多川氏、ジャニーズ事務所の歴史を紐解く。
1990年『ジャニーさん 光GENJIへ総集編』(データハウス)鶴田康文著
今回取り上げるのは、90年3月にデータハウスから出版された『ジャニーさん 光GENJIへ総集編』である。タイトルにもある通り、これは元フォーリーブスの北公次が88年12月に出版した、ジャニー喜多川氏のホモセクハラを告発した暴露本『光GENJIへ』シリーズの総集編という位置づけの本である。
当時、『光GENJIへ』の衝撃はすさまじいものがあった。
「その頃の光GENJIはまさに人気絶頂。たのきんトリオの後、事務所の屋台骨を支えるほどのスターが輩出できず苦境に立っていたジャニーズ事務所は、ついに生まれた大スターの登場によって、改めて芸能界、テレビ界に大きな影響力を持つようになっていました。そんな中、北が、ジャニー氏との“夫婦同然”の生活と、北の意に反して毎夜のように繰り返された性行為の数々を生々しい描写で綴ったのですから、ジャニー氏の光GENJIへの寵愛を知るファンの心は大きくかき乱されました」(芸能記者)
大変な話題となり、『光GENJIへ』は瞬く間に大ベストセラーに。そして、その後、続編が同じくデータハウスから異常なまでのハイペースで次々に発売されたのだ。
・89年2月『光GENJIへ・再び』
・89年4月『光GENJIへ3 みんなで考えようジャニーズ問題』
・89年6月『光GENJIへ 最後の警告』
・89年9月『さらば!!光GENJIへ』
・89年12月『光GENJIファンから北公次へ』
・90年3月『ジャニーさん 光GENJIへ総集編』
ほかにも、北の告発、糾弾活動に共鳴した、元ジャニーズJr.たちで結成した「新・光GENJI」によるものもある。
・89年6月『8人目の光GENJI』
・89年10月『新・光GENJI ハロー・アイ・ラブ・ユー』
・90年2月『がんばれ!!光GENJI』
これらに加え、ジャニー氏から受けた性的行為についての詳細が記述された初代グループ「ジャニーズ」中谷良による『ジャニーズの逆襲』も含めれば、その関連本は10冊を超えてしまうのだ。
とはいえ、出版を重ねるうちに次第に内容も薄くなっていき、89年の後半からはもうネタ切れ感でいっぱいになっていった。そして、最後に総集編として刊行されたのが、『ジャニーさん』だったわけだ。
驚くべきは、これがこれまでの『光GENJIへ』シリーズで明かされてきたジャニー氏の言動を“ネタ”にした「4コマ漫画」であったことだ。
「著者は、もはや北公次でも新・光GENJIでもなく、鶴田康文なる漫画家。小学生の落書きレベルのひどい絵に、あまりにも低俗な“ホモネタ”満載。とにかく、ジャニー氏を徹底的にいじりまくり、さらに光GENJIのファンや、新・光GENJIのファンまでもディスりまくるという、悪ふざけの佃煮といった内容で、これまでの北の告発の真実味が大幅に薄れること間違いなしのお粗末な一冊でした」(同前)
例えば、「クイズ」という作品を見てみよう。
「クイズ! 男にあって女にないもの。そして美しいもの、それは何…?」
という問題に、「ウ〜ム、何だろう?」と目をつむって考えるジャニー氏。2〜3コマで考え続け、4コマ目でジャニー氏が「わかったぞ、コーモンだ!」と答える――そんな漫画に、「ジャニーさんは女性にはコーモンがないと思っているらしい。そんなことはない。女性にだってちゃんとりっぱなケツの穴があります」という、どうしようもない注釈が付いている。
そんな4コマ漫画が、250篇以上も収録されているのだから、こんな悪趣味な本はないのだ。コロナ自粛でいくら時間があっても、世界で一番無駄な時間を過ごしたい人以外は読むべきではないだろう。
(渡邊孝浩)