店長に枕営業、ストーカーする常連客と女同士の“ドロドロ”……メイド喫茶の闇、“元メイド長”がぶっちゃけます!
カネと欲望が渦巻くコスプレ業界――40代“現役”コスプレイヤー・椎名蜜が、業界の闇をぶっちゃけます!
私は若かりし頃、メイド喫茶で働いていたことがありました。今でこそ秋葉原には多数のメイド喫茶がありますが、当時はそんなブームが来る前です。衣装がかわいい、漫画やゲームといった“二次元”が好き、気の合う友だちもできそう……そんな理由で働きはじめました。「友だちなんてとんでもない」という、ドロドロとした世界だとは知らずに、です。
大学生の同僚が、私の胸ぐらを掴んで号泣!?
私が働いていたお店では、メイドさんのチェキを販売していました。その売り上げがいいメイドさんは、時給が上がるシステムだったんです。もちろん、私も時給を上げたかったので、身なりに気を使ったり、ご主人様(お客様)には明るい対応を心掛けていました。その結果、まあまあ売り上げがよく、トントン拍子でメイド長(バイトリーダーみたいなもの)まで登りつめます。ご主人様に話しかけられることも増え、オタクな話題で盛り上がれるし、「最高の職場だわ……!」と思っていましたが、やはりうまい話ばかりではなく、そういう私を見て、嫌な顔をする同僚が出てくるわけです。
ぶっちゃけた話、そのとき私は結婚していたので、生活に困窮していたわけでもなく、モテたいわけでもなく、「ヒマだから、誰かかまってくれるとうれしいな〜」くらいの感覚で働いていました。そんな中、実家で暮らす普通の大学生で同僚のAちゃんは、私に嫉妬心を燃やしていたよう。
ある日、休憩室で突然「なんで、なんであんたばっかり!!」と、胸ぐらを掴まれて号泣されたときは驚きました。今思うと、彼女はただのかまってちゃん&メンヘラだった気がしますが、とりあえずメイド長という肩書を与えられているので、「泣かないで、いつもニコニコしてるほうがかわいいし、ご主人様からも認められると思うよ?」ってな感じで、当たり障りのない言葉でなだめるのがお決まりのパターンでした。
しかし、Aちゃんは日に日に“病み”を増していきます。手首に包帯を巻いて出勤したり、ご主人様に「メイド長にいじめられている」と吹聴したりもしていました。Aちゃんの件で私まで病みそうになったことと、常連のご主人様にストーカーされたことで嫌になり、「メイド喫茶辞めようかな〜」と思っていた頃、店長が変わります。今までの店長は、スタッフみんなのパパ的な存在の人でしたが、新店長は社会経験が少なそうな若造……悪い予感は的中してしまいます。
店長との“枕営業”でリーダーの座を奪ったオンナ
新店長は、勤務中にもかかわらず、Aちゃんからの悩みを延々と聞いてあげていました(多分、私の悪口かな?)。2人の空気感が変わっていくのに、そこまで時間はかかりませんでしたね。新店長が着ていたTシャツをAちゃんが着て出勤し、わかりやすい感じで“新店長のオンナ”になったAちゃんに、私はメイド長の座を奪われます。新店長は私に「評価制度を変えたから」と、よくわからない理由を説明しましたが、まあ、Aちゃんの枕営業だと思います。これで「人間関係めんどくさいなあ……」と絶望し、メイド喫茶をすぐに辞めました。
そんな2人の関係を、ほかのスタッフやご主人様たちが気づかないわけありませんよね。新店長とAちゃんが付き合っているウワサが広まると、Aちゃんのチェキの売り上げは激減。さらにお店自体の売り上げも減っていったようで、このメイド喫茶は閉店してしまったそうです。
もう30年くらい、こういった業界を見つめてきた私ですが、女という「性」をお金に変える業界って、どこも一緒なんだなあと思います。女同士のドロドロとした嫉妬があったり、ちょっとおかしなお客様がいたり、それを牛耳るトップが一番うまい汁を吸っていたり。ちなみに、つい3年ほど前、熟女でも働けるコスプレBarで少しだけ働いていたのですが、オーナーは思いっきりヤ○ザでした。見るからにそっち系の人でしたが、話してみると漫画オタクで、『幽☆遊☆白書』(集英社)の話で盛り上がったのはいい思い出ですけども。
「好きなことを仕事にしたい」という純粋な気持ちは何よりですが、こうした面倒ごとに巻き込まれ、のちのちトラウマになるかもしれませんから、職場選びはどうか慎重に!