カルチャー

『鬼滅の刃』徹底考察! 鬼舞辻無惨「医師殺し」の元ネタも判明!? マンガをより深く読むための1冊

2020/05/11 11:00
サイゾーウーマン編集部(@cyzowoman
『「鬼滅の刃」最終研究 -日輪と麻の葉文様に秘められし暗号-』(セブン新社)

 マンガ『鬼滅の刃』(集英社)の勢いが止まらない。2月に発売されたコミックス19巻でシリーズ累計発行部数は4000万部を突破(電子版含む)。5月1日発売予定だった20巻は昨今の状況を受けて5月13日に延期となったが、相前後してアニメ劇場版『無限列車編』の公開日が10月16日と発表され、こちらはファンを喜ばせた。

 一方、連載中の「週刊少年ジャンプ」本誌では物語が佳境を迎えている。すべての鬼の始祖とされる仇敵・鬼舞辻無惨との戦いがクライマックスを超え、ここに至るまでに張り巡らされた伏線が回収されたり、新たに来歴を明かされるキャラクターがいたりと、ますます目が離せない展開になっている。

 マンガに限らず、人気作品には考察がつきものだ。オタクによる“解釈”という名のものからプロの批評家による読み解き、「いかがでしたか」ブログのようなアクセス稼ぎのウェブサイトまで、多くの人が考察合戦に参加していることこそ人気作品の証し、と逆説的に言うこともできるかもしれない。そしてそれは出版業界においても同様だ。200万部の大ベストセラーになった『磯野家の謎 – 「サザエさん」に隠された69の驚き』(1992年/飛鳥新社)以来、国民的コンテンツを深読みして楽しむ非公式の謎本・考察本はもはや定番となっている。

 『鬼滅の刃』も、もちろん例外ではない。5月11日に刊行されるムック『「鬼滅の刃」最終研究 -日輪と麻の葉文様に秘められし暗号-』(鬼殺〝最終研究〟調査隊/セブン新社)では、既刊コミックスと「週刊少年ジャンプ」2020年18号までの内容をもとに、さまざまな考察を展開している。こうした本を手に取るのは、『鬼滅』を深く知りたい! 自分の解釈をもっと深めたい! というオタクだろう。その観点からいうと、同書は資料としてとても“使える”といえる。

 『「鬼滅の刃」最終研究』は、「鬼殺隊歴史年表(推測もあり)」から始まる。この年表では、鬼舞辻無惨が誕生し、「始まりの呼吸」の剣士・継国縁壱やその兄・継国巌勝が現れ、さまざまな縁がどう絡み合っていったのか、現在の上弦の鬼たちがいつ生まれ、そして現在の隊士たちがどのように鬼殺隊に加わってきたのか、作中で描かれた事柄が西暦や元号と共に整理されている。既刊19巻と巻数がさほど多いわけではないが、回想で語られるストーリーも多いため、うっかりすると時系列があやふやになりやすい。自分で年表をつくるのは骨が折れそうなので、こうしたまとめは素直にありがたい。

 さらにこの本の見どころは、第4章で展開される『ジョジョの奇妙な冒険』との徹底考察部分だ。『ジョジョ』といえば、『鬼滅』同様「ジャンプ」から連載を開始、いまでも続いているアドベンチャー漫画の金字塔だ。この2つの作品の類似点を指摘し、「『鬼滅』も『ジョジョ』同様に壮大な叙事詩になるのではないか」と、今後の展開に気を揉むファンにとって希望になるような推察を行ってみせる。

 また、考察においてもっとも楽しいのは、作品の中に、史実、神話、伝説といったスケールの大きなものと重なり合う部分を見いだして掘り下げるときだ。作者の真意はさておき、「このキャラクターのこの設定は、この歴史上の人物が元ネタかもしれない」「あの技の名前はあの文献に由来してるのかも……」と、あれやこれやと調べて自分の解釈を固めていくのは、オタクなら一度はやったことがあるだろう。特に『鬼滅』は時代設定が大正で刀を持って戦うという和風ダークファンタジーゆえ、日本の歴史や神話、古典作品と絡めやすい。本書では「鬼滅よもやま傅奇記録」と題した章で、そうした考察を行っている。無惨の「医師殺し」というエピソードの元ネタ、那田蜘蛛山の鬼一家のモデルになったかもしれない豪族の存在、さらには継国兄弟=天照大神・月読尊という大胆な見立てなど、ワクワクする内容で中二心がくすぐられる。

 そして最終章では「鬼滅謎解き聖地巡礼」と銘打って、『鬼滅』ゆかりの地を詳細に紹介。主人公・竈門炭治郎の故郷(雲取山)や同期・嘴平伊之助の故郷(大岳山)、霞柱・時透無一郎の出身地(景信山)など、『鬼滅』のキャラクターたちの出身地は山岳地域が少なくない。現在の外出自粛という状況がなかったとしてもおいそれとは行きにくいが、せっかく自宅にいる時間が長い今、本書片手にGoogle Earthやストリートビューで疑似聖地巡礼に出かけるのも良さそうだ。

 このまま『鬼滅』が完結に向かって突き進むのか、思いも寄らない新展開を迎えるのかはまだわからない。そんな中でこうした考察本を刊行する力強さが本書にあるのは確かだ。何かとしんどい今の時期、空いた時間に本書を読み込んで“考察の呼吸”の使い手を目指してみるのもいいかもしれない。
(文/岩見司)

『「鬼滅の刃」最終研究 -日輪と麻の葉文様に秘められし暗号-』(セブン新社)

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最終更新:2020/05/11 16:03
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