芸能
日テレのファミリー感は粘っこい

日テレ『ZIP!』、フジ『めざましテレビ』に勝てないワケとは? 「謎の降板劇」「付け焼き刃」の制作体制

2020/04/28 09:00
村上春虎

 では、『ZIP!』はどうだろう。番組は出演者のことを「ZIP!ファミリー」と呼んで家族感を打ち出している一方で、レギュラーの変動が激しいようだ。曜日パーソナリティーを見ると、月曜日を担当していたネプチューン・原田泰造が抜擢からわずか5カ月で降板するなど、多くのタレントが次々と交代している。番組の売りの一つだった女性有名人の総合司会についても、関根麻里、北乃きい、川島海荷と、3代まで続いたものの、その後撤廃。

 パーソナリティーから司会まで目まぐるしく変動し、当然、コーナーも次々と消滅、名物コーナーまで唐突に終了してしまうのだ。象徴的なのは、放送開始から番組人気を支えた、速水もこみちの料理コーナー「MOCO’Sキッチン」の終了だろう。

「19年3月にコーナーが終わってからも、もこみち関連で何かしらのイベントPRはあったはずですが、番組のエンターテインメントコーナーでは紹介されておらず、遺恨を残しているのではないかと勘ぐってしまう。『めざまし』は、出演者が去ってもコミュニケーションをとっているようで、仲の良さそうな感じが伝わってきますが、『ZIP!』はビジネスライクな関係が透けて見える。そんなところも、視聴者は見抜いているのかもしれません」(業界関係者)

 さらに、金曜に据えている“月間パーソナリティー”という存在も「付け焼き刃に感じる」(同)という。もともと金曜パーソナリティーの吉田沙保里に加えて、今一番人気のある女優やタレントが抜擢されることが“売り”となっている。

「これまでEXITや、りんごちゃん、山田裕貴、橋本環奈、上白石萌歌などが登場。吉沢亮が出た2月は高視聴率を連発したそうですが、やはりビッグネームを出し続けるのは難しい。3月の佐野勇斗、4月の玉城ティナは、そこまで話題にならなかった。それに比べて『めざまし』は、比較的流行を追わないキャスティングと言えるかもしれません」(前出・放送作家)

 出演者の移り変わりが激しい番組に、視聴者が信用を置くのは容易ではないだろう。番組の企画うんぬんというわけではなく、上に立って作る側、制作者側のマインドが2番組の最も大きな違いだろう。

 番組全体で人を育て、卒業後も大事にする『めざまし』と、話題性で人を選び、去ってからは音沙汰もない『ZIP!』。これでは、出演者に愛されているのはどちらかなのは、明白な気がするが……。
(村上春虎)

最終更新:2020/04/28 09:00
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